2013年11月29日金曜日

「いま、初めてクライミングの入口に立った気がする」

11月29日(金)は、マルチピッチリード講習にて越沢バットレス。
前日に続いて、男性YZさん。
<オブザベーション>

マルチピッチリード講習は、「初登攀ごっこ」が原則です。

それが面白いのですが、その分だけクライマーに課せられるものも大きい!

その技術面については、前回参照。
で、本日のYZさんの発言いろいろ、核心に迫るものがありました。
<YZさんの心にプレッシャーを掛ける、越沢バットレス>

「ここが、分かれ道かもねー。高難度マルチか、アルパインか。(どちらを志向するか)」

「いま、初めてクライミングの入口に立った気がする。」

「恐い。逃げ出したいくらい。」

「こんなこと、山ん中でやれたら、そりゃ楽しいだろーさ。」

「こんなこと、ヒマラヤの壁なんかでやってるヤツは、偉い!」
<オンサイトトライは辞退して、体験講習で登ったラインをリードすることに>

プロテクションの取りにくいピッチでは、

「ムーヴは、大したことない。どうやって心を保つか、心のムーヴだな。」

などなど。
<“心のムーヴ”でメンタルをすり減らした、2P目>

自分なりの理解を言葉にしてくれると、その人の理解度が伝わって来ます。

1つ1つは、ここで解説しないでおきます。
でも、色々なことに実感が篭ったのが伝わって来ました。

この2日間で、確実に成長しましたねー。
<ヘロヘロながら、完登!>

冬の間、色々と修業して、春から再度マルチピッチリード講習を再開予定です。
頑張ってください!

経験者にも受けて欲しい、マルチピッチリード講習

11月28日(木)は、マルチピッチリード講習にて二子山中央稜。

マルチピッチリードに入って、すでに半年の女性KSさん。
今回が初回の、男性YZさん。
<登攀準備>

YZさんは、すでに自分でマルチピッチやアルパインルートも登っており、経験もあります。

しかし、

・技術の洗練
・残置無視ノウハウの習得

の2つを目的に、マルチピッチリード講習に入門。
<初リードで、すべてが上手く行かないYZさん>

しかも、その前段階として、秋からクラックリード講習を受講。

さらに、参加条件である、5.8のオンサイト3本もこなして来てくれました!
<核心のコーナークラックをオンサイトする、KSさん>

残置無視のノウハウ、と言うと変な感じです。

なんせ、残置を使わない、というだけですから。
でも、残置とトポを追って来たクライマーからすると、

・ピッチを切る場所を考えながら、ロープを伸ばす
・ビレイポイント用にも、カムを残すことを考える
・トポと無関係に、ルートファインディングする
・プロテクションが取れない場面で、突っ込むべきか否かをどうやって判断するか

といったこと、全てが新鮮です。
<開放感のある5P目>

残置無視は、カムセットの練習ではありません。

もっと深く、どっぷりと壁に向き合う方法なんです。
<ロープワークの流れも、ようやく落ち着いてきたKSさん>

講習生には、そういった判断力の基礎を身に付けてもらいたいので、マルチピッチリード講習はマルチ初心者からこのスタイルです。

おそらく、このスタイルで講習しているのは日本でも唯一だと思います。
(マルチのリードを教えるの自体、リスキーですしね・・・)


だから、これを卒業した人は、自信を持って良いですよ!

“まだまだ手際の悪い初級者なんだけど、すでに中級者への道筋が見えている”

状態になっているハズ。
<ルートファインディングしながら動き回る>

YZさんのように、経験者なんだけど受講に来る、という意識の高い人が増えてくれたら嬉しいですねー。
<残置無視、トポ無視で、オンサイト&オールフリー完登!>

具体的な講習内容
・上記の戦略について、色々と

KSさん、マルチピッチリード講習は卒業です!
ONさん、NMさん、HYさん、YZ夫妻に続いて5人(組?)目。

卒業とはいえ、不慣れなのは確かなんで、気を付けて頑張ってください。

余裕を持ったクライミング

11月27日(水)は、昼と夜ともにリード講習3回目。
昼は、女性ISさん。
夜は、女性MTさんと男性OGさんのペア、女性FIさん。

今回は、無事に全員卒業です。
慣れたクライマーの登りには、本気トライでも、どこか余裕があります。

それは、先日書いた

「レストポイントは、戦略的駐屯地」

というのを最大限に活かして、直近の5手くらいをしっかりオブザベーション出来ているからだと思います。
逆に、余裕がない登りの典型例で、こんなの見たことありませんか?

・普段は、恐がりなクライマーでリードで落ちたがらない人。

テンション掛けたそうな時点で、下からムーヴ指示が飛んで、頑張って手を出す。
そうこうしているうちに、意外と5手くらい進めちゃっている。

で、すっかりクリップを忘れているので、今度は下から
「クリップ!クリップ!」

と、指示が飛ぶ。

「恐がりなのに、なぜクリップ忘れるの?」
と言われます。
逆に、冷静なクライマー。


「あそこまでに、次のクリップしないと危ないな。」

と、安全圏を計算。

「逆に言えば、そこまでは落ちそうでも頑張ってみろ!ってことか。」

と思って、次のクリップ出来そうなホールドまで、ムーヴに集中!
つまり、落ちそうもないという余裕ではなく、

「周りの状況が見えている」

という意味での余裕。


余裕があるからこそ、落ちそうなムーヴにも集中できる、という話。

不思議な表現ですが、ジムリードからマルチピッチまで全般に通じる、クライミングの本質的なコツの1つだと思います。


具体的な講習内容
・落ちる練習と、止める練習
(振られ落ち、ガッツンビレイ、ロングフォール、など)
・ビレイヤーの立ち位置
・スポットについて(夜のみ)
・実践本気トライ(昼は、オンサイトトライとレッドポイントトライの両方。夜は、オンサイトトライを2名のみ)

2013年11月27日水曜日

ボルトルートのマイブームは、記念受験

11月26日(火)は、K口さんと、またまた甲府幕岩。
先日、忘れ物をしていたことが発覚して、回収しに。
最近のマイブームは、

「まず完登出来そうもないルートを、ムーヴ分解だけして遊ぶこと。」
自分ルールは、以下

①1便目は、ルートに対する礼儀として、マスター、オンサイトで取り付く

②登れなくて当たり前なので、目標設定は全ムーヴ解決(各クリップで、積極的にテンションを掛ける)

③A0クリップ、A1突破は、最後の手段としてO.K.
で、やってみると

1手だけなら出来るけど、2手を続けることすら不可能、というパターン。

1手だけが、テンション直後でフルパワー&5回に1回ぐらいの成功率、ということなんで当然です。
つまり、5手のボルダーとしてすら、登れないぐらいのルートをテンション掛けかけ遊んでいると。

自分としては、“記念受験”という気持ち。
でも、これが意外と良いような気がしています。

ルートは、やっぱり力を抜いて登ってナンボ。
だから、1手で力尽きるようなムーヴを、余った時間に練習するってのが良いトレーニングになっている訳です。

今日も、昼間に5.12aをR.P.してから、午後3時から5.13aで遊ぶという状態。
登れるわきゃないけど、意外と良いトレーニングかと思います。

しかも、ムーヴだけと割り切って遊ぶと、意外なほど面白い。
具体的に登ったルート
・HIVE(5.10a、ボルト):アップ
・サイコモーター(5.11a、ボルト):アップがてら再登。出だしで、1回落ちた。
・30へのアプローチ(5.11b、ボルト):フラッシュ。終了点は、アイボルト2本?
・バルタン(5.9、ハンドクラック):アップ

・パストラル(5.12a、ボルト):R.P.、2便。
チョーク跡でオブザべしやすいタイプだったので、オンサイト狙いだったが、全く出来なかった。
1便目は、はずれホールドにデッドすること多数。落ちまくった。

・風になれ(5.13a、ボルト):ムーヴだけ遊ぶ(2便)


ただ、最近ボルトルート頻度が高くて、すっかり飽きてしまいました。
やっぱ、ボルトルートは「たま~に」が好みみたいです。

そろそろ、スキー練習に切り替えようかな。

2013年11月25日月曜日

我々は、永遠に初心者なんじゃないか?

11月23日(土)、24日(日)は、城ヶ崎にてクラックリード講習。
女性TZさん、女性WNさん、女性IMさん、男性FKさんの4名。
今回、FKさんが仰っていたことは、

「こんなに、初心者であることを痛感させられるスポーツは無い。」
まず、ジムに行けば、常連さんの半数はベテラン。

仲良くなるのは、ありがたいことですが、自分が一向に上手くならないような気がしてくる。
特に、ある程度の年齢から始めると。

また、素人さんでも、体育会系の若者だったりすると、いきなり抜かれたりもする。
また、リードを覚えようにも、分からないことだらけ

さらに、岩場、クラック、マルチと行くも、その都度ごとに自分が初心者になる。

分からないことばかりだし、グレードも5.8くらいでもヒーヒー言うものです。
当塾の場合、皆さん山をやりますので、雪山や沢登りでも、またまた初心者っぷりを痛感。

以前、講習生のHYさんが、
「我々は、永遠に初心者なんではないか?」

と言っていたのも、うなずけます。
じゃあ、なんでこんなことやっているのか?

FKさんが言うには、
「アドレナリンの量が多い。今までやった、様々な趣味のアドレナリンが色あせるほどに!」

たしかに、

“完登の喜び”

には、恐怖心とリスク管理という醍醐味があります。
だから、競争心においては、報われることが圧倒的に少ないスポーツだとしても、面白いんでしょうね。
ちなみに、僕も大学生ぐらいのボルダリング初心者に、半年で抜かれるのは日常です。
ランナウトで練習していて、毎年何人もに抜かれます。

スポーツルートでも、数年で抜かれるのが日常。

それを、「気にするな」ってのも無理な話。
では、どうするか?

①自分の成長を楽しむ

半年前、1年前の自分を、よくよく思い出せ!
ダメだった自分を思えば、成長を実感できる。

WNさん曰く、重要なのは“当社比”!
②近い成長速度のライバルを見つける

あまりに成長速度が違う人は、先生と仰ぐ。

・モチベーション
・才能
・練習方法
・体力

何かが大きく違うんです。

「ふーん、ここが違うから上手くなったのか。参考になるねー。」

くらいの意識です。
人間なんで、競争心を捨てるのは、たぶん無理です。
しかも、競争心はモチベーションに良い影響を与えたりもしますから、完全に捨てるのも考えもの。

だからこそ、競争のためにクライミングをやっている訳ではない、というのは定期的に思い出すと良いと思うんですよね。
流行りの、メンタルコントロールって、やつでしょうか。

具体的な講習内容
・テーピングの巻き方
・ハンドジャム、フィストジャム
・カムセット練習
・疑似リード
・実践リードトライ
TZさん:鬼ころし(5.7)、純(5.8)を再登。初孫(5.5)をO.S.。
WNさん:鬼ころし(5.7)を再登。純(5.8)をR.P.。初孫(5.5)をO.S.。

TZさん、WNさんともに、クラックリード講習は卒業です。
プロテクションの難しい5.8も、落ち着いてリード判断が出来たので、O.K.としました。

すでに、次回予約も入っていますが、それは補習として頑張りましょう。

2013年11月22日金曜日

読図講習は、気軽に受けてみて欲しい

11月22日(金)は、奥多摩にて読図講習。
YZ旦那、女性ARさん。
マルチピッチリード講習を卒業したYZ旦那ですが、山はリアル初心者。

人に連れられて登山をしたことが、2回あるだけ。
どちらも、その人に頼る部分が大きく、地図をほとんど開かなかったとか。
対するARさんは、元々が山屋さん。

当塾に来た初期の頃に、雪上訓練Lv.1を受けたりしています。
普段から、隔週レベルで山歩きをして、地図も開いています。

むしろ、クライミングはこれから。
先日、岩場リード講習を修了したばかりです。
育った畑が違う2人ですが、読図を覚えたい気持ちは同じ。

雪山、バリエーション、何をやるにも読図は必須。
本当を言えば、登山道を歩いているだけでも、基本は出来た方が良いんです。
当塾の読図講習は、参加条件が

★夏山登山道を、おおよそコースタイム以下で歩けること

と、厳しめ。

ただ、その代わり1日で基礎修了。

マルチピッチリード講習までの道のりが延々と続くのに比べれば、1日~数日で卒業できる読図講習は楽なものです。
クライミング講習を主体の方も、一度は受けて欲しい講習ですよ。
具体的な講習内容
①小ピークとコルが多い登山道にて、“2万5千分の1の地形図”の基礎的な説明
・尾根と沢
・チェックポイントを意識すること
・チェックポイントまでの情報を整理して、先読みすること
・間違いやすいポイントあれこれ

②登山道の無い尾根を、講習生がルートファインディングする研修
・誤った尾根に入らないようにする、戦略についてあれこれ

2人とも、読図講習は卒業です。
補習という手もあります。
あとは、研修登山や雪上訓練Lv.2、Lv.3の際に、補足説明ぐらいでも良いかと思います。

補習で、「ようやく講習を受けた気がする」という気持ち

11月21日(木)は、昼夜ともにリード講習2回目。

昼は、女性ISさん、女性HMさん。
夜は、女性MTさん、男性OGさんのペアに加え、女性FIさん。
女性HMさんは、岩場リード講習も終え、現在はクラックリード講習を始めたところ。
すでに、ジムでも5.10bを何本かR.P.しています。

ですが、

・「落ち方が、下手な気がする」
・「ビレイで、首を痛めたような気がする」

という理由から、補習希望で参加。
で、講習後・・・

「以前は、落ちるのに精一杯すぎて、講習内容に集中できていなかった。」
「今回、ようやくまともに講習が受けられた気がする。」

とのことでした。

リードは、恐怖心を伴います。
ですから、本人が充分に真面目でも、講習内容を吸収しきれない場合があります。

実際、
講習直後は出来たのに!

という人よりも、意識レベルは上だと思いますよ。
具体的な講習内容
・疑似リード
・ビレイの繰り出し
・ビレイヤーの立ち位置
・墜落距離の計算
・落ちる練習、止める練習

今回のクールは、経験者が多いです。
ボルダリング3級登る女性、すでにリードも行っていて確認で受けに来ている男女ペア、など。

ですから、少し進度は早め。
最終回で、実践本気トライの時間が充分に取れそうです。

2013年11月21日木曜日

瑞浪の屏風岩

11月19日(土)、20日(日)は、自分のクライミングにて瑞浪。
男性UDさんと。
<易しい中では看板ルート、エースを狙え(5.10b)>

瑞浪は、岐阜の恵那の近くにある、プチ小川山といったエリアです。

・小川山・ミズガキよりも、標高が低くて、適期は11月~3月。
・クラック、スラブが中心。
・ルートは、短いものが多く、グレードの割にムーヴは厳しい。
日当たり良好。
開放的で、気持ちの良いエリアです。

地元のクライマーにも愛され、過去4日行った限り、平日でも10人以上は居ました。
が、一方で、初級者返しの岩場としても知られています。

有名なのは、新人クラック(5.9)。
私の体感グレードは、5.10b(笑)。

その周辺の入門ルートを見渡すと・・・

・感激(5.10a、私の体感5.10b)
・秀則コーナー(5.9、体感ちょい辛ぐらい)
・エースを狙え(5.10b、私の体感で妥当)

と、全体的に5.10a以下のグレードは、辛め。
<感激(5.10a)>

しかも、5.10a以下は数mだけに核心部が凝縮されていたりして、ムーヴが厳しい!

個人的には、5.10bくらいからは、大体は妥当に感じる。
<秀則コーナー(5.9)は、湯川の台湾坊主より少し難しい気がする>

ですから、5.10aくらいでウォームアップ、5.10中盤以上にオンサイトトライくらいの人には、丁度良い岩場です。

もちろん、そうでない人も、チャレンジする価値はあると思います。
(UDさんも、瑞浪の低グレードが辛めだとは知らずに来たクチでしたが、楽しんでいました。)
逆に、5.12のクラックとか、5.13のフェースとかはないので、メチャクチャ上手い人は見たことがない。
<アダム(5.11b)をトライする、名古屋のクライマー>

イメージとしては、湯川や城ヶ崎ファミリーで、ある程度登った人が、遠出して来ると楽しい岩場かと思います。

ロケーションは、それら2つの岩場より数段上だと思います。
オススメの岩場ですよ。
<余裕のよっちゃん(5.8)をR.P.する、UDさん>

具体的に登ったルート
1日目:
・エースを狙え(5.10b、シンハンド~オフウィズ):アップ
・感激(5.10a、ハンド):アップ
・アダム(5.11b、フィンガー):2便出して、ムーヴとカムセットは解決
・秀則コーナー(5.9、コーナー)

2日目:
・新人クラック(5.9、ハンド~フィスト):アップ
・秀則コーナー(5.9、コーナー):アップ
・ティータイム(5.8、ハンド):息抜き
・余裕のよっちゃん(5.8、ハンド):息抜き
・アダム(5.11b、フィンガー):1便目に指皮を切ってしまい、テーピングを巻くが、2便目はテーピングするとジャムが出来ず敗退
・美少女(5.11d、スラブ):1便目にて、ムーヴ解決。雨が降って来たので、さようなら。
・アストロドーム左(5.10c/d、フェース):ギリギリO.S.。雨が止んだので、最後に少し遊んで帰ろうという流れ。
・原住民(5.10b/c、フェース):クールダウン、のつもりが、意外と苦戦した。

2日間で、個人的には狙ったルートは登れず・・・。
また来よう!