2023年10月1日日曜日

不動沢の矢立岩

もう6月5日の話になるのですが、Hさんと矢立岩に行きました。

前々から、Mr.スランプ(5.11c)といった有名課題が気にはなっていたものの、「どうせ行くならトポは見ず初登攀ごっこのスタイルで登りたい。」と思っていた岩です。

とりあえず、下見だけになる覚悟で、弁天岩まわりで2時間ほどかけてアプローチ。
こちらは、時間は掛かりますが、悪場もなく、矢立岩も目視できるので、オンサイトアプローチには良さそうという判断。

パッと見て、明らかにラインと分かるチムニーラインを4ピッチかけて登りました。
(後から、風林火山(5.9)だったと分かります。体感グレードは、5.10a。)

この日は、これでオシマイで、成果として書くには本当になんてことは無く、ただただ自分の実力の無さを悲しむことになります。

しかし、案の定メチャクチャ楽しかったです。

状況判断を含めたオンサイトを楽しむことは勿論ですが、開拓者の歴史を感じるのも、トポを見て登るよりも何倍も増します。
スポーツ的なエリアでは純粋な登攀力の弱さを突きつけられますが、総合力の弱さを突きつけられるのも、人生のスパイスです。

Mr.スランプと思われるクラックを見かけたり、他にも多くのラインを見たりしつつ、この日は帰りました。
2回目は8月25日、省二さんと。

この日も、なるべくトポを見ずに登りましたが、結果としてMr.スランプにトライすることに。
O.S.トライは、ラスト5mほどでムーヴが分からずに力尽きてフォールしました。

この日は、これで終了。

こうなってくると、もはや初登攀ごっことか言っている場合ではなく、早く再トライしたい気持ちに火がつきます。
<省二さんの1P目>

3回目は、9月12日で「世界のキタヒラ」こと北平さんと。

北平さんは、Mr.スランプを「瑞牆に残っている最後の大物」(ワイド系で、5.11以上で、スケールとか有名さとかで言っていると、僕は理解しました。)と言い、虎視淡々とチャンスを伺い、一人で矢立岩に偵察に行ったりしていたとの話。
そのモチベーション、「さすが過ぎです。」と言わずにはおれません。

初めてご一緒するので、登りを見るのが楽しみです。
早速、北平先生のO.S.トライ。
<あれよあれよ・・・>

<僕が落ちたあたりもスイスイ>

<見事にO.S.!>

基本に忠実な真っ向ワイドの連続で、全く問題なく。
今回のトライでは自分の作ったムーヴでゴリ押し予定ですが、ムーヴ習得の方向性として、かなり参考になりました。

で、僕のR.P.トライ。
<そもそも、ムーヴが全く違う>

<自分が、ワイドを局所利用してムーヴを作っていると再認識する>

1時間近く粘って、どうにか完登!
この日は、午後からの予報が悪いこともあり、2人とも満足。

いったん取り付きに戻り、僕が先日から気になっていたワイドを2人でトライすることに。

O.S.トライしたい気持ちもありますが、あまりにもMr.スランプで掛けた2人の労力が違うため、元気な北平さんに先行を譲ることに。

パッと見、5.10中盤ぐらいですが、意外と苦労してO.S.していました。
スタック系の技やスタンスが滑り、一瞬ヒヤッとしたのが何箇所があったように見えました。
「短くて悪い系だな・・・。」と、十分に理解して、自分のトライ。
<やっぱ傾斜感じるなー。>

<下部のフレアが足技を難しくする>

<どうにかフラッシュ成功>

その後の北平さん調べでは、これが初登の可能性があるそうです。

北平さんに体感を聞かれて、「5.11aぐらいっすかねー。」と答えるものの、いつもながら自信はありません。
僕は、5.11aのオンサイト率は50%も行かないので、5.10後半と言われれば納得しちゃう反面、それ以上のグレードでも非常に稀にオンサイトしているので。

ワイドのグレードは、フェースみたいに「ある程度の精密さ」で当てることが難しいですね。
フェースの場合、自分の得意系やら、リーチ考慮して、グレードを当てることが、まだマシだと思います。

●フェースのグレードが、比較的当てやすい理由。
①これまで登ったサンプル数が大きい。ジムと動きが近いこともある。
②自分以外(リーチ、筋力、得意系が異なる人々)の登りを大量に見ているので、それを目の前のホールド配置に当てはめやすい。

アホみたいな話ですが、5.10c〜5.11bの間であることは、多分たしかでしょう(笑)。
<1P目>

4回目は9月18日、狂祖さまとSTさんと。

初心に戻って、トポ無視の続き。
他にも、登りたいラインは色々見つかっていますので。

ゴルジュっぽい大チムニーを登ります。
もはや突っ張れないほど広いセクションもありつつ、チョックストーンや側壁のクラックなどがゴチャゴチャしているので、どうにかなりそうです。

1P目を5mほど登ると、目の前にチムニーの中にルーフオフウィズスが出現。
これはいきなり核心部だと思い、ピッチを切ります。
<2P目、思った以上のボスが出てきた。>

チムニーを利用しつつ、ルーフオフウィズスの下をトラバースしてビレイヤーの真上ぐらいまで戻ります。

無限に近いレストポイントの連続なのですが、とにかくムーヴが分からずに、10回以上の行きつ戻りつを繰り返します。

小さいゴルジュのような地形に加えて、昼間なのにヘッデン登攀で、気分は盛りあがります。
<ルーフ部分を無事に突破>

<フォローするSTさん>

こちらは、2人も無事にフリーでフォローできました。

ワイド系の5.10前半って感じでしょうか。
(まだトポを見ていないので、実際のグレードなどは不明。体力的には、綺麗なゲレンデ的岩場で5.10後半ぐらいをO.S.するぐらいは苦労しています。)

いやはや、楽しいピッチでした。
<フォローのビレイ中>

続く3P目は、狂祖さま。

チムニー側面にあるハンドクラックを主体にしつつ、背面も使って進んでいきます。
<3P目>

<ようやく明るいビレイ点に出た>

<4P目にトライするSTさん>

4P目は、いくつかラインがあったものの、綺麗なハンド〜フィンガーのラインを選択。

2人とも1時間ぐらいトライして、最終的に僕がリード。
結構プルプルでフラッシュしました。
<4P目は、無事にフラッシュ>

このピッチを抜けると、頂上台地のようなブッシュ帯へ。
ここから岩峰の頂上までは、どうにも歩いては行けそうもなく、時間も夕方だったので、今回は下降としました。

まぁ、この岩峰には、まだ登りたいラインが幾つかあるので、その際に頂上台地の探索も深められればと思います。

改めて、こういうのが趣味なんだなぁと自覚しています。
一人ボルダーも、ボルトルートのオンサイトトライも、それ自体が楽しいんですが、やっぱコレのための基礎力作りの一環、というのが大きいんでしょうね。