10月29日(土)は、マルチピッチリード講習にて小川山。
NSさん夫妻。
<1P目>
講習生同士でラインの検討をしたり、敗退戦略を話し合ったり、リード中の判断ミスなどを話し合ったりする際、言語化能力が肝になります。
例えば、上の写真は1P目です。
「ちょっと難しいところで奥まったクラックにカムを決めるところが悪くって、そこで何度もカムを挿し直したらスタックしそうになって。」
という状況を説明したいとします。
「ちょっと難しいところ、って〇〇のところ?」と聞いたときに、チンプンカンプンな回答をする方が多いのです。
例えば、
「手をプッシュっぽくしたら、ギアラックがカムに干渉して、それを外すのが大変で・・・」
などと、そのときの状況を熱く語ってしまい、場所の説明になっていないとか。
おそらく、
「出だしの易しいスラブを越えて最初の立木プロテクションを取った後の、数メートルのハンド〜フィストのコーナークラックを越えた乗っ越しで、ちょっとバランスが難しいところ。」
と言えば、写真を見た多くのクライマーがポイントを同定できるでしょう。
この能力は、何なのでしょうか?
他にも、
「ナナメのとこにあった立木が・・・」
といった感じで場所の同定を終えたつもりになる講習生も多いです。
おそらく、
「3P目の中盤に出てきた斜上バンドの終点付近、そこから上のスラブに移る地点にあった、太いけど枯れている立木。」
と言えば、登ったことがあるクライマーなら、ほとんど同定できるでしょう。
もっと言えば、この能力はジムでも垣間見られます。
青いガバを繋げたラインセット(同色で統一したルート)の5.10aがあったとしましょう。
「ヌンチャクの隣にあるの青いガバが・・・」
と言って会話を始める人は、散見されます。
「いやいや、何本目のヌンチャクよ!?」
「ってか、ほとんど青いガバだから。」
と、何度も友達に突っ込まれているのに、その癖がなかなか抜けない人がおります。
おそらく
「5本目のヌンチャクの右上にある、右手ガストン気味のガバ。」
とか
「7本目のヌンチャクの真下にあるアンダーガバがあるじゃん。その左下にあるガバ。」
ぐらい言わないと、会話が始まりません。
ただ、ジムだと相手が意を汲んで色々と聞き返してくれたりして、どうにか伝わることが多いものです。
しかし、岩場では
「あの大きな岩の先にある、デッカいポコっとした岩が・・・」
とか言われても、相手も困る訳です。
さらに、全く別の場所を同定してしまい、話が噛み合わないまま会話を続けているケースも散見されます。
<紅葉の小川山>
これがまた、家族だと何となく伝わることも多いんでしょうね。
そして、これに得意不得意があるのも、様々な講習生を見て、しみじみと感じます。
根本的な性格みたいなものは一旦置いておき、まずは意識してみると良いと思います。
実際、元の性格はノンビリさんでも最低限チャキチャキできないとマルチピッチは大変とか、元は雑な性格でも最低限丁寧さを身に付けないとクライミング全般危なっかしいとか、趣味を本格的にやるなら避けて通れないものって、色々あります。
<傾斜の寝たコーナークラック>
これが出来ると、何が良いのかを再確認しておきます。
①登攀ラインの検討、懸垂下降ラインの検討などが言語化できる。
②ムーヴの検討が、言語化しやすくなる。
③様々なヒヤリハット、事故原因を、言語化しやすくなる。
など。
副次効果として、会話のストレスが減り、中身のある会話が増えるというのもありそうです。
言語化能力が低いと、ついつい当たり障りの無い会話しかしなくなる、という初級グループも多いと思うので。
ジムでのオブザベも、こういう能力が大事なんでしょうねー。
<ビレイヤーから見えない場所で核心となる、嫌な形状>
<立てるバンドで、アルパインクイックドローを作る>
<無事にトップアウト>
<とても楽しそう>