2010年7月1日木曜日

山の会

今日は、僕が所属する「山岳同人チーム84」の集会でした。

同人というのは集まりという意味で、チーム84が名前になります。
集会は、今月の山行報告と、パートナー探しや情報交換、そのほか山の世間話の場となります。

「山を始めるなら、どこか会に入りたい」と考える初心者は多いと思います。とはいえ、「どんな会に入れば良いのか分からない」というのも聞く話です。
では、どんな会が良いのか、少しだけ僕の考えを言います。

まず、昔から山岳会という集まりがあります。
これは、何のためにあるかというと、①「山仲間を集める」、②「遭難したときの捜索などを助け合う」、③「新人が山の技術を学び、中堅が新人を教えたり連れて行ったりし、山に行かなくなった大ベテランが遭難対策本部などを引き受ける、というギブアンドテイク」の3つのためです。
ただ、これだと義務が発生しやすいシステムなのが想像できるでしょうか。

そこで僕の入っているような「同人」では、先ほどの②と③を会員の義務から外しています。
つまり、「遭難しても助けてくれる保障もないが、会社を休んでまで捜索に行く義務がない」、「中堅にとっては、新人を連れて行く義務がなく、思う存分遊べる。が、新人にとっては教えてもらえる保障はない。」という個人主義的な集まりです。もちろん、仲良くなればボランティア的に何でもやりますが、見ず知らずの新人が来ても歓迎されるとは限らない訳です。

現在、本格的にやる人の中では同人や同人っぽい山岳会が主流のようです。
理由は恐らく、本格的にやる人は、自分の山行に忙しくて、新人の面倒をあまり見ないからでしょう。
あともう1つ、本格的な人は新人の頃に新人教育システムを必要としなかった人が多い、ってのもあります。といのも、そういう人は、独学で危ない目に遭いながらも基礎を学んで来たり、大学山岳部で基礎を既に学んであったり、同人に入ったのに有り余るやる気で先輩に可愛がられたり、といったパターンが多いのです。
また、山岳会では、山人口が少なくて新人を勧誘しまくったりすると、新人を選べません。すると、せっかく教えても結局山を辞める新人の割合が多くなります。結果、熱い登山者ほど"無償"で教えるのが嫌になる、なんて事情もあります。

では、普通の人が強くなるには山岳会が良いのでしょうか?
しかし、本格的にやってる人がいまや少ない山岳会では、教えてくれるのは最近は山にあまり行かない大ベテランであったり、口だけの先輩だったりすることも多く、意外と最新の技術や考え方は学びにくいものです。実際、ジムや岩場でやる気のある新人が、いま一歩の先輩に間違った技術を教わっている姿など、見ていてツラいです。
さらに、自分のヤル気よりも低い会に入ってしまうと、すぐに中堅になってしまい、新人を連れて行くばかりの損な役回りになって、本気山行にも行きにくくて辞めてしまう人も多いです。

じゃあどうすりゃ良いんだ!って話ですよね。
オススメの方法は3つです。

1つ目:
クライミングジムなど、山関係の場所で同好の友人を見付け、独学で始めます。その際、独学が危険なロープワークや雪山技術などは、お金を払ってでも講習を受けて下さい。
(石田登山塾は、そんな方に熱意を傾けますが、そのお金もキツいという若者は都岳連などの講習も意味があると思います。)
そして、基礎を身に付けた後に、同人or同人っぽい山岳会に入会して下さい。

2つ目:
自分のやる気に丁度良さそうで、雰囲気が良さそうな山岳会を頑張って探す。もちろん、初心者がこれをやるのは至難の技です。山を知らない初心者に、偉そうにホラ吹くことは簡単ですからねぇ。逆に、強い人が謙虚だったりもして・・・。
「自分の情報収集能力と人間観察力をフル活用して!」としか言えませんが、上手く回ってる山岳会、というのが存在するのも確かです。
結構、運もあると思う方法です。

3つ目:
同好の友人がやる気も充分なら、自分たちで会を作ることも出来ます。その際に、基礎を学ぶのに講習を利用するのは同じですが、みんなで受ければ1人1人は安くなったりします。
さらに、最終的に同人に入る必要もありません。
自分なりに「こういう形がやりやすい」を模索出来て、案外面白いです。

番外編:
金銭的に余裕があれば、講習以外も全てガイドさんに連れて行ってもらって、基礎を学ぶ方法もあります。これは、日本トップクラスの登山家に連れてもらいながら基礎を学ぶことも可能ですし、安全性も高く、上手くやれば最高の環境です。
ただ、山では「教えてもらうのは上手さで、自力で行って身に付くのが強さ」だと思います。強さは、危険に対する勘の良さ、ちょっとしたアクシデントへの対応力、などの経験から来るものです。連れて行ってもらって上手くなった気になりすぎるのは危ういので、簡単な山を自分で行きながら、上手さと強さのバランスを保って下さい。

案の定、長文になってしまいましたね。
山を始める人が、山岳会選びや講習選びの参考にしてくれたら幸いです。当塾も応援しますので。