2022年9月20日火曜日

マルチピッチはマルチタスク

9月16日(金)は、自分のクライミングで小川山ボルダー。
10年以上前に全然できなかった、フィロソフィーをトライしに。

120度のトラバース課題で、カチと第二関節スローパーのサイドorガストンという構成。
ガバ足が少ないので、足技でフィジカルをカバーする方法も取りづらく、どうやっても真っ向勝負の連続になるタイプ。

結果は、まだ全然ダメでした。
ただ、10年前よりは進捗を感じる程度にはなったので、ツライほどのトライ状況にはならず。
もう少し行くのもアリかもしれません。
<夕方、、隣のクラックで、レイダウンスタートの練習>

翌日は、NSさん夫妻のマルチピッチリード講習で小川山。

ここで、なかなか興味深い話が出ました。
1P目で、ピッチを短く切りすぎた奥さま。
もう5m伸ばせば、2P目のリードをビレイする位置として適切でした。
本人としては、「せっかく良い立木も現れたし、ここで切ればフォローの姿も見やすいし。」という判断。

結果的には、5mの移動のために30分のタイムロスが発生しました。(慣れたパーティでも、10分は掛かりそうな状況。)
続く2P目で、今度は旦那さまがピッチを伸ばし過ぎ、枯れ木をビレイ点にしてしまいました。

本人としては、
「ちょうどロープの屈曲点にあるビレイ点で、ありがたい。難しいセクションの手前で切るのが原則なので、歩きっぽいセクションが終わるところまで伸ばせるのも、グッド!」
ぐらいの感覚でした。

ちなみに、枯れ木であることは気づいており、このままピッチを伸ばす場合のプロテクションとして使用することに不安を感じたそうです。
が、ビレイ点として使う際には、その不安をいつの間にか忘れてしまったそうです。

5mほど手前に、割と元気そうな立木があり、カムでもバックアップが取れる「ビレイ点の適地」があったのですが。
この出来事、なかなか興味深いなと思いました。

1点目は、1P目の反省を活かそうと考えて、裏目に出た点です。
岩場リード講習などで、ロープと足の絡む関係を講習し、次のリードトライで意識したら多少マシになる、という入門型の学習過程を踏みづらいのです。

マルチピッチリード講習は、仕事で言うところのオンザジョブトレーニングに近い状況です。
全ピッチ出てくる状況は異なるため、様々な原則(※)を押さえつつ、何を重視すべきかを本人なりに判断する必要があります。

※今回で言えば
・難しいセクションの手前でピッチを切ると、リードのビレイがしやすくなる。(見やすさ、ベストなビレイ位置を選べる、など)。易しいセクションは難しいセクションの後半部として登ってしまうことでピッチ数の削減にもなる。

・ビレイ点は、ラインが大きく屈曲するところに設定すると、ロープの流れが良い。

・ビレイ点は、安全マージンを大きめに取ることで、パーティ全滅のリスクを低減させる。

など、全ては理解済みの内容でも、総合的にその場で判断することは難しいようです。

2点目は、枯れ木であることに気付きつつも、いつの間にか忘れてビレイ点としていた点。

1点目の総合的判断と関わりますが、マルチピッチは非常に頻繁に情報処理の限界を超える場面が出てきます。
リードや作業そのものは、全く焦る必要はなく、ゆっくりと考えながら取り組んでいただいていますが、それでも情報処理の限界があるようです。
最初は、マルチピッチのシステム理解やら、作業の流れに不安を感じていた2人ですが、本当に考えるべき核心に迫ってきた、とプラスに捉えたいと思います。

以前の講習生に、「マルチピッチは、マルチタスクだ!」と言っていた方がいたのが思い出されます。
その後も、3P目、4P目とドラマが続き、キャンプ場に降りたのは21時となってしまいました(笑)。

でもまぁ、トップアウトできたし、学びも大きそうだったので、何よりでした。
引き続き、ゆっくり行きましょう。