2015年6月1日月曜日

山岳会の岩トレ講師

5月30日(土)、31日(日)は、頂山の会の岩トレ講師として。
総勢16名の参加者ということで、大所帯。

常連ONさん、ARさん、HYさん、そしてインストラクター志望のKIさんの4名には、勉強兼ねて特別に無償アシスタントしていただき。
<木登りで、ウォームアップする講師チーム>

今回、講師をやってみて、つくづく山岳会も良いところだと思いました。

仲も良く、今回担当した岩トレのリーダーの2人も、見事に隊を統率していました。
記録や計画書を見ても、一生懸命取り組もうという姿勢は、大学ワンゲルのようです。

本人達は、「全員が、初心者・初級者の会だから、悩みもあって。」と語りますが、これだけ仲良く活発なら、都内有数の優良山岳会かもしれません。
<初日は、湯河原>

ただ、クライミングやロープワークに関する技術は、山岳会で伝承するのが難しいというのも現実です。

というのも、原理を本質的に理解するには、時間と労力が掛かるからです。
<流動分散、固定分散、独立分散の違いは、ONさんが説明>

例えば、ジムのリード。

山岳会だと、少し登れる新人に
「ちょっと、リードしてみる?」

と声を掛けて、やらせるのが一般的でしょう。

その際に、逆クリップの説明をしたり、クリップ飛ばしちゃダメだと指示したり。
<初日の反復練習は、ちょっと飽きがち>

この方法だと、リードする本人が、リードのリスク判断を本質的に理解するのは無理です。
よく分からないだけに、「リード怖い」という思いも強くなるでしょう。

もしかしたら、この方法で教わった新人が、「落ちるまで頑張るクライミング」もろくにしないまま、次の新人に
「ちょっと、リードしてみる?」

と、指示することも多くなるかと。

つまり、山岳会の中に1人や2人くらい中上級者が居たところで、次の世代がダメになるのは一瞬です。
<背負い搬送の見本。HYさんとARさん>

これって、一事が万事。

・ビレイ
・終了点作業
・マルチピッチのロープワーク

本質的な理解を伴わず、怪しい技術伝承になるリスクがあります。
<2日目は、ストーンマジック>

だから、リードのビレイなんかは、山岳会で習った人よりも、無所属で勉強しているジムクライマーの方がよっぽど上手かったりすることも多い訳で。

しかしながら、山岳会の方が沢とかバリエーションとか、より事故リスクの高いことを目指すという矛盾・・・。

止むをえない部分もあり、それを変える一助になりたい部分もあり、という気持ちです。
<初心者班は、HYさんが名言の数々を披露>

今回アシスタントに来てくれた皆さんも、

・山岳会の協力意識
・山岳会では学びにくいところ

というのに、少し触れられたかと思います。
<経験が浅い分だけ、疑岩での実体験を取り交ぜると、反復練習の重要度が分かる>

いつも、初心者岩場やジムなんかでは、イマイチな山岳会の後輩指導を見て、
「うーん・・・」

と悲しくなるものです。

でも、こうやって、中に入ってみると、
「みんな、真面目なんですねー。」

というのが伝わって来ます。
<初心者班には、懸垂下降体験>

自分としても、山業界を見るポイントが少し修正される良い経験でした。
なんせ、楽しく2日間を過ごせましたし。

ただ、この2日間で学んだことは、クライミングやロープワークで本当は知らなきゃいけないことの氷山の一角でしかありません。

一生懸命学んでくださった皆さん、お手伝いしてくださった4名の皆さん、本当にありがとうございました。
<2日目の午後には、だいぶ反復練習モチベーションが上がってきた>

具体的な講習内容
<全体>
・エイトノットの結び方
・ATCを落とさない方法
・フリークライミングのルール
・トップロープのビレイ
・ザック+ハーネスの背負い搬送

<経験者班>ONさん、ARさんに補助に入ってもらう
・ボルトの種類
・流動分散、固定分散、独立分散
・終了点作業(結び替え、立木での懸垂下降)(って、この一言では語りつくせない様々なこと)
・懸垂下降の仮固定

<初心者班>
ムーヴ練習、懸垂下降体験、トップロープクライミングの楽しみ方、などを担当のHYさん、KIさんにお任せして