2021年2月22日月曜日

ルートと自分との距離感 〜練習の意味合いという尺度〜

2月11日(木、祝)は、アドバンスクラック講習にて、女性ISさん。
2月12日(金)は、ムーヴLv.0にて、男性TGさん。これにて、ジムリードに進んでO.K.としました。
2月13日(土)は、ムーヴLv.0にて、女性AKさん。
2月14日(日)は、岩場リード講習にて、女性HNさん、男性NNさん、復習参加の女性FSさん。

自分にとって、このルートがどのくらい難しいか、という尺度は大事です。
自分の最高グレードより何個下、といったイメージも無意味とまでは言いません。

しかし、
・得意不得意(傾斜、ホールドの種類、ムーヴのタイプ、クラックのサイズ、など)
・グレードの不確実性
・ルートがクライマーに要求してくる危機回避能力
などを勘案すると、R.P.グレード5.13の人が5.10aを本気トライしても、何ら不思議はありません。(典型例は、核心以外がランナウトするルート、ワイド、など。)

僕は、以下のようにイメージしています。

A:十分に易しく、自分なりのテーマを意識して、それを自己評価しながら登るだけの十分な余裕がある。

B:本気トライとしては易しく、95%以上で一撃できるため、トライ前に十分に気合いを入れることが難しく感じる。しかし、自分なりのテーマを意識しようとしても、登っている最中は必死になる場面があるため、基礎練習には使えない。どうしても完登するだけになりがち。

C:本気トライ
 下限は、O.S.トライで2割ぐらい失敗しそうなルート
 上限は、ムーヴ全暗記のR.P.トライでギリギリのルート
 本人の意識次第で、本気トライのグレード幅は相当広くも狭くもなると思われる。

D:現時点では、無理そう。

最近、「AとCを中心にやった方が、上達すると思いますよ。」と講習生にちょくちょく伝えています。

Bは、初心者が初級者になる過程での「数に勝る練習は無い」という時期などは有効。(ボルトの中上級者がクラックを始めた場合、強いボルダラーがリードを始めた場合などは、そのジャンルの下積みをするのにも使える。)上質な本気トライは、一日に数回が限界なので。
ただ、Bは良質な練習をすることが難しい、微妙な難易度でもある。僕自身が、このBの難易度のルートを「どのタイミングで、いかに登るか?」は、結構悩みのタネ。
一方で、小さい達成感を1日に複数回も味わえるので、最もエンジョイできるクライミングでもあると感じます。

岩場に行くと、初級者は5.8のボルトルートでもAには感じないでしょうから、なかなか実践が難しいのも承知しています。
岩場の5.6のルート、下部トラバースでの基礎練習、ジムの全ガバのルート、ジムボルダーの8級、などを上手に利用して、ちゃんと上達するメニューを工夫して欲しいなと思います。

ただ、この話が本当に身に染みるのって、一体どのくらい経験を積んでからなんでしょうね。
100%ご納得いただかなくても、ちょっとだけ気に留めていただければと思います。