2013年5月21日火曜日

それぞれのスタイル

5月18日(土)、19日(日)は、立川山岳会のHさんが大阪に転勤する前の、壮行会。
と言っても、それは土曜の夜だけなので、それに合わせて軽くクライミング。
初日は、HさんとK島嬢と。
奥多摩の三ノ木戸の岩場。

数時間の滞在ということもあり、下見的な感じで、軽く登る。

<三ノ木戸のメインエリア>
最初に、5.7,NPと書いてある2つのルートを登りました。
(NPは、ナチュラルプロテクションの意味)

登り方(スタイル)は、全員バラバラ。

私:NPでリード

K島嬢:トップロープ
(肩をクライミングで痛め、スキーで靭帯を痛め、現在は満身創痍。)

Hさん:1本目のルートは、残置のボルトを使用してリード。2本目は、NPでリード。
(岩場は、少し久々?)

<久々の岩場で、トップロープでも楽しそうなK島嬢>
スタイルっていうのは、良いに越したことはありません。

トップロープよりリード、フラッシュよりO.S.、NPルートで残置を使うより残置無視。

でも、妥協はアリだと思います。

<石灰岩のNPルートは、カムを決める場所選びが難しい>
典型的なのは、
・故障中で、リードは無理せざるを得ない場面も出てくるので避ける


他にも、
・ウォームアップとして、トップロープを使う
・初心者の練習に、トップロープを使う
・久々の勘戻しに、トップロープを使う
・体調が悪いとき、リードの緊張感が維持できないので、トップロープを使う
・ヌンチャクやカムの回収が、トップロープの方が便利なので使う
・高難度ルートをR.P.するために、スタイルを妥協してトップロープリハーサルを行う

などなど

<最後に、ボルトルートも2本ほど>
こうやって書き出すと、妥協しようと思えば、いくらでもトップロープにする言い訳はあるもんですね(笑)。

ただ、あんまり妥協していると

・(自分の)リードスイッチが入る機会を減らしてしまうので、クライミングそのものが充実しにくい
・フィジカル以外の、安全管理能力や、メンタルなど、アルパイン的な能力の練習になりにくい

と言った意味で、私はリードをオススメしている訳です。
要するに、

スタイルは、良いに越したことはない。
ただ、妥協はアリ。
でも、妥協は“ほどほど”を旨とした方が、自分のため。

ってことです。

<都内某所にて、壮行会>

<Hさんの人望か、12名の参加者>
2日目は、立川山岳会のA場さんと組んで越沢バットレス。
S原さん、Y中さんのペアも。

皆、前夜遅かったので、半日だけ。

ここでも、4人のスタイルは笑っちゃうくらいバラバラ。
私:普段通り、残置無視フリー。

S原さん:基本は残置無視フリー。ビレイ点&カムが絶対に効かないセクションのみ残置使用。

A場さん:5年振りにクライミングシューズとハーネスを着けるということで、リハビリの意味でオールフォローに徹する。なるべくフリー。

Y中さん:オールフォロー。フリーへの拘りも一切なし。
個人的には、残置は撤去した方が良いとは思っています。

クライミングをより面白くするためにも、初級者クライマーの安全意識を高めるためにも。

ただ、その一方でフォロー大好き、って人は、他の人に迷惑にならない範囲でやるならアリだと思います。
極論すると

A:前穂北尾根にハシゴを掛けて、登りやすくする

というのは、クライマーにとっては大迷惑です。
仮に、それが一般化しても、撤去したいと思う人も出てくるでしょう。

B:前穂北尾根を、全てフォローで登る。さらに、ポーターも別に雇って、荷物を持たずに登る

というのは、迷惑は掛かりません。

もちろん、
「そこまでやって、登ったって言えるの?」

と、クライマーの価値観からは言われるでしょう。

でも、残置を山に増やしている訳でも無し、登ったことを自慢する訳でも無し、というなら個人の自由です。


私は、そのクライマー的な価値観を伝えることを大事にしております。
が、本当は色々な取り組み方がある世界なのです。

ま、私も熱が入って来ると、自分の価値観を押し付けがちでしょうけどね(笑)。