2020年10月8日木曜日

ボルトが想定する、トライする人のレベル

9月16日(水)は、岩場リード講習にて、小川山。
男性AHさん、男性SHさん。

9月17日(木)は、岩場リード講習にて、天王岩。
男性HGさん。

9月19日(土)は、クラックリード講習にて、湯川。
男性SUさん、男性WNさん、復習参加の女性HSさん、復習参加の男性MKさん。

9月20日(日)は、自分のクライミングにて、坊抱岩。
カメチヨ先生、Mさん、HSさん、ISさんに混ぜてもらって。

9月21日(月)は、クラックリード講習にて、湯川。
男性WNさん、男性STさん、復習参加の女性ISさん。

9月22日(火)は、クラックリード講習にて、湯川。
男性KTさん、男性SUさん。
KTさんは、これにてクラックリード講習を卒業といたしました、
ボルトルートには、大きく分けて2つのコンセプトがあります。

1つは、ミニマムボルトの原則。
「あんまりボルトが多いのは美しくない。」
「カムが効くなら、ボルトは打つべきでなない。」
「あまりボルトが多いのも、結局はクライマーのためにならない。(リード中のリスク管理能力を求める)」
といった、感覚です。

「なるべくそのままの岩を登りたいし、クライマーなら目指すべき姿だ。」
といった美意識とも言えます。

最もハードなものだと、核心部だけボルト1本、10m程度のランナウトは当たり前、といった感じです。
もう1つは、スポートルートとして安全を整備するという考え方です。

「そのグレードぎりぎりの人がやっても安全なように。」という掛け声のもと、ボルトを打ちます。
僕が見たかぎり、一番ボルトが多いエリアで、ジムの半分くらい(3m間隔ぐらい)でしょうか。
垂直以上のロングルートであれば、4m間隔ぐらいまでは、スポーツ的と見なせる印象です。(怖いけど、落ちても大丈夫。)
どちらのコンセプトのルートもありますし、中間ぐらいだと見えるものもあります。

再登者である我々は、多少の文句は内に秘めたりしつつも(笑)、楽しく登らせていただく状態にあります。
講習エリアで言えば、小川山はミニマム寄りのルートが多めです。
湯河原、天王岩は、割とボルトが近いです。

ただ、ボルトが近いルートであっても、「どこで落ちても大丈夫。」ということは、あまり無いと感じています。

よく言うのは、
「落ちちゃいけないセクションが落ちそうなら、まだ登る資格が無いということだ。」
という考え方があります。

・プリクリ設定じゃないルートを、プリクリしなきゃ登れない
・ランナウト区間を、トップロープ練習しなきゃ登れない
ならば、「まだ挑戦権が無い。」というものです。

僕はこの考え方に強く共感していますし、講習でも「自立した登山者・クライマーを目指す」ならば、これが一番分かりやすいと考えています。

(個人的には、リハーサルして登ったら、もはや別のジャンルだと感じているので、他人に「おめでとう」とは全く思えないレベル。)
一方で、現代のクライミング上達方法で、
「ハングドックを繰り返してムーヴ練習 ⇨ ムーヴ洗練のために何度も通い込み ⇨ 体調を万全にして、岩の状態の良いタイミングを狙って、繋げのR.P.トライ」
というのは、無視できません。
早くても数日間、長ければ10日間以上のトライを前提として、トライを開始するというものです。

これ主体の中上級者は、初級者に対して、
「もっと粘って打ち込んだ方が良いよ。」
「数日で諦めるなんて早いよ。」
といったアドバイスをすることもあるでしょう。
これ自体、理念としても練習方法としても、悪いこととも思えません。
僕自身、オンサイト〜数日間のトライだけしかしないことを、後ろめたく感じているぐらいです。

ただ、これに向いた初級ルートは、もしかしたら凄く限られるのかもしれません。

(むしろ、クラックの方がどこでもプロテクションが取れるルートがある?)
というのは、今まで登った初級ルートの数々と、そのボルト位置を振り返るに、

「10日間以上を通ってR.P.する人のレベルを前提として、ボルトが打たれている。」
というものは、滅多になかったと感じています。

多くのルートは、
「数日間のトライで登れるぐらいのレベルの人なら、チョンボ(プリクリ、トップロープなど)しなくても何とかリスク管理できるでしょ。」
という範疇に感じます。

さらに
「オンサイトトライで良い線行けるぐらいの人しか、取り付いちゃダメなボルト位置かな。」
というルートも、非常に多いと感じています。
話をまとめると。

初級者が、ハードに打ち込んでR.P.する中上級者の真似をするのは、練習方法として良いかどうかは不明。良し悪しありそうなので、今回は割愛。(ジムなら比較的安全に実践可能なので、色々と検証してみても良い。)
一方、それに向いた初級ルート(相当背伸びの人が取り付いても、どこでも落ちられるボルト位置のルート)が、岩場にどれだけ存在するかは、経験上は結構怪しい。

結果的に、初級者に「もっと上のに取り付くべきだよ。」と促す発言が、トップローパー的なレッドポインターを量産してしまう可能性あり。
いつもの話ですが、今回はボルト位置という観点から考えてみました。
自分のクライミングの日に、登ったルート。
・無名のチムニー(5.6ぐらい?) O.S.
・温泉フェイス(5.10d、2P繋ぎ) O.S. これだけ、グレードより随分簡単に感じます。
・?(体感5.10d) O.S.
・芸者ワルツ(5.11b) O.S. 見た目より悪く、結構ギリギリでした。
・ピナクルダッシュ(5.10c/d) O.S.
・コズミックワールド1P目(5.11b) O.S.
厳しい予感がしたので、30分以上オブザベ。出だしが、際どかったです。
・ラブ・スペース(5.10b) O.S.

限界トライはしませんでしたが、ほとんど諦めかけた天気の中で登れただけでも御の字という一日でした。




<ツムツム(5.9)のO.S.トライからのハングドッグをするISさん>



<エイド練習&カムで落ちる練習>

<本日で卒業となったKTさん>