2011年9月12日月曜日

湯檜曽川ケサ丸沢、水線突破の面白み


9月9日(金)は、自分の山行で谷川岳周辺の沢登り。 
今回は、湯檜曽川の支流“ケサ丸沢”です。

この沢、アプローチが2時間以上、下山が3時間くらいで、遡行時間は3~4時間程度。
ちょっとアプローチに見合わないですね(笑)。

が、実際は「THE 良いとこ取り」。

入渓した直後から、小規模で美しいゴルジュとナメ!
黒部・屋久島などの有名大渓谷の源流部分のようです。


さて、今回は一般的な沢登りの魅力ではなく、もっとディープな楽しみ方を御紹介。
個々の用語を説明するキリがないので、初心者は読み飛ばして下さいませ。

沢登りでは、直登が困難な滝、水流沿いの突破が困難なゴルジュが出てくると、高巻きという迂回作戦を取ります。

しかし、ここで迂回せずに水線に近いラインを描ければ、それだけ楽しいということです。

その感覚は沢屋さん共通とも言えますが、どのくらいの労力を掛けて水線突破にチャレンジするかは、全く人によります。

そのチャレンジそのものを、沢登りの楽しみとし始めたゴルジュ野郎を、“ゴルジャー”などと揶揄することもあります。
今回は、ゴルジャーヘの誘いです。

<難易度>
遡行図にもよりますが、滝で“一般的に高巻く”と記載されていればⅣ級では済まないということ。
ほとんどの場合は、Ⅳ級+以上、場合によってはデジマル5.8以上、あるいはカムやハーケンでのエイドクライミングです。

淵や釜の突破の場合は、投げ縄、ショルダー、などの水との総合格闘技の様相になります。

<今回の実際のクライミング>
下の写真の右壁ラインを登りました。
見た目、プロテクションの取りづらいⅣ~Ⅴ級。
実際には、核心ムーブの下で9割方止まりそうなカムが効くⅤマイナスって感じでした。
(ただし、リードは空身で、クライミングシューズ使用)

先人の残置ハーケンも出てきました。(無視しますけど)



<魅力>
この難易度からも分かるように、準備さえしていけば、ほとんどのクライマーが登れるレベルです。
でも、これがトポ無しオンサイトだからこそ面白い!
「いやー、この先どうなってんのかなあ?」、「プロテクション取れずにこれ以上行けなかったら止めておこうか?」などとの駆け引きがあります。

しかも、単なる壁以上に、滝の横というのは燃えるものがあります。
なんででしょう?
これは、色々理由を考えてはみますが、共感出来る人とそうでない人とそれぞれです。

まるで
滝:「ここを登れるかな?フフ」
自分:「やるだけやってやろうじゃねえか!」
という楽し気な会話が聞こえてきそうです。

しかも、そこにラインを描いた先がまた素晴らしい。
安定した滝の落口でホッとしたり、遡行図には無いゴルジュや滝が現れてさらなるドキドキが始まったり、高巻きでは見ることの出来ない自然の造形美があったりします。

これも含め、まさにオンサイト!

ゴルジュの中や、複数段の滝の中段の景色は、頑張ったからこその御褒美!
最高の気分です。


<準備>
今回に関して言えば、滝のみが遡行図との違いです。
本チャン装備一式(クライミングシューズ、カム、ハーケン、ナッツ)だけ持って行けばオーケーです。

トップは空身でリードしたくなることが多いので、荷揚げやユマーリングの準備があるとベストです。

ゴルジュ突破を考えるなら、ウェットスーツはあった方が良いです。

高巻よりも時間が掛かることが多いので、余裕を持った時間設定でないと楽しめません。



<心構え>
敗退出来る範囲でオンサイトトライを楽しむこと。
プロテクションが取れないならば、クライムダウン出来る範囲でのランナウトを試みる。

グレードが付いていないところを行くので、ダメなら諦めましょう。
もっと上手くなれば安全に登れそうなラインもあれば、人間には不可能そうな水線突破もあります。

「登らねばならない」というものではありません。
降りるに降りられなくなって、登るしか無い状況。それは、死と隣り合わせとなります。



具体的な行程
5:50 土合駅
8:10 武能沢出合
8:30 白樺沢出合
9:20 2段25m滝の取り付き
10:10 落口(突破完了)
11:40 登山道合流点
15:00 下山完了

下山中に道を誤り、かなりの大回りをしてしまいました。
仕事中じゃなくて良かった。
凡ミスです。

あまりにも楽しい沢クライミングでした。