2013年1月15日火曜日

「悪天時も山へ!」というのも、程々が良いかも

だいぶ更新が滞っておりました。
少し、駆け足で行きたいと思います。

12月29日~31日は、自分の山行で北アルプスの不帰の稜線を目指して。
パートナーは、K島嬢。
予報は、29日だけが晴れ。
30日の昼前から、小雨。
31日は、冬型だから北アルプスは雪だろう。
1日は、冬型のピークで、かなり荒れそう。
2日、3日も微妙に悪いくらい。

総じて、
「ちょっと悪いくらいのが、毎日続く。」
「30日までは暖気が入り、31日以降に寒気が入るので雪崩と濡れに注意」

という状態。
入山前夜の大雪も凄かったし、ラッセルの量も半端じゃないだろうから、敗退ムード満々。

とりあえず、行ける範囲で行くという方向です。

<初日は、もったいないくらいの晴れ!>
悪天が分かっていても、とりあえず山に入る。

そんなときは、敗退がほとんどです。
が、山は悪天に学ぶことも多いのです。

モチベーションが下がっているなら、入山前に中止もアリでしょう。
ただ、やる気になっているなら、荒天を味わって来るのも勉強になります。

今回は、どうなるでしょうか?

<とは言え、晴れるとモチベーションも上がるのが人情・・・>
初日の段階で、ラッセルが予想通り厳しく、縦走計画は諦めモード。

どうにか、稜線にだけ出て、天狗の頭だけでも登頂する計画を練りつつ歩く。
2日目は、早朝6時に出発。

おおむね、ワカンで膝~腰程度のラッセル。
が、急登なので、ほとんで胸ラッセルと万歳ラッセル。

やはり、計画より3分の2のスピードでしか進めない!
しかも、予報より早く、9時からミゾレっぽい雪が。

こんなコンディションで、胸まで雪に埋まって行軍してたら、ザックの中までビショビショ確定です。
普通なら、絶対行動をやめるでしょう。

しかも、長期山行の前半でビショビショになっても、テント内で乾かすことは期待しにくいものです。
もう、こりゃ敗退かとも思いました。

(実際は、敗退するのが正解でした・・・)
が、標高が上がってくると、一応ミゾレより雪っぽくなって来ました。

今日(30日)、明日(31日)が微妙な悪天。
明後日(1日)が悪天のピークだという予報。

それなら、微妙な悪天くらいで、なんとか稜線だけでも踏んで帰れまいか?

徐々に濡れてくる自分の体、そして濡れて重くなって来るザックに嫌気が差しつつも、根性試し的な行軍です。
 
標高1,900m付近で、雪崩の可能性があるような斜面に突入。

「これって、明日になって敗退するとしたら、新雪が乗ってヤバいことになるかもなー。」

とは、半ば分かりつつ、攻め気味の判断で通過。
雪崩が怖そうな斜面を越えると、なだらかな台地。
2,000m付近で幕営。

<ウェアもすっかり水分を含んで、この頃から寒気が入ったような気温低下が始まる>
「濡れてから寒波で気温低下と大雪って、1番遭難しそうなパターンだよね。」
なんて話していたうちは、まだ良かった。

案の定、湿った衣類では寒さ倍増。

テントも外張りもしっかり濡れていて、その上に大雪・・・。
テントと外張りが、くっついてしまって、寒い&換気しにくい&テント内が不快。

ガスコンロで水を作るにも、お湯を沸かすにも、微妙に酸欠を感じてはかどらない始末。
これじゃあ、テント内でガンガン火を炊いて物を乾かすどころじゃない!

半ば、想像通りの展開・・・
ですが、濡れも、外の雪も、寒波も、予想よりちょっとずつ酷い・・・

そんな中、私が寝る前にトイレと除雪に外に出ました。
で、小便を足そうと力んだ瞬間、酸欠がピークに達したのか、貧血のようにブッ倒れてしまいました。

幸い、意識までは飛びませんでしたが、倒れてからしばらく雪の上で動けなかったので、指先もわずかに凍傷に。

「こりゃ、これ以上良くなる要素もないし、なんとか今晩はウェアの濡れを寝袋に吸わせて凌いで、明日は一気に下山しちゃおう。」

という結論になりました。

<下山時の懸垂下降>
3日目は、テント撤収が大変な騒ぎ。

昨晩は必死すぎて、テント内が整頓されていない。
疲労も結構なもので、はかどらない。
昨夜の酸欠の恐怖で、ガスの使用は控えめ。
テントの外は、結構な雪で、起きたらすぐに除雪が必要。
全てが濡れていて、撤収&パッキングに苦労する。
テントポールが、濡れてからの寒波でガチガチに凍って、収納できない。

あらゆる悪条件を全部引き受けた感じで、起床から出発まで4時間掛かってしまいました。

<わずか40分前に、巨大な雪崩が起こった後のデブリの上を歩く>
とはいえ、出発してしまえば、下りラッセルは体力的には楽です。

最初の雪崩斜面は、トレースも埋まってルートファインディングも重要でした。
間違えば、こんな日に雪崩れてくださいと言わんばかりの急峻な沢に降りてしまいます。

さらに、前半の急登は懸垂下降を交えて。

むしろ、尾根を降りきった沢床は、40分前に起こった巨大雪崩の跡・・・。
わずかなタイミングの差が、生死を分けますね。

今回は、さすがにハイリスク過ぎる登山だったと反省です。
<下山後、全てを乾かすために泊まった某旅館・・・申し訳ありません>
悪天時の山・・・。
今回も、とても勉強になりました。

が、やっぱり冬山で濡れるのは程々に!
雪崩のリスクが小さい山で、悪天を体感すべし。

という分かりきった結論に、今まで以上に実感がこもったのでした。