2013年1月20日日曜日

那須の朝日岳東南稜で、異文化コミュニケーション

1月16日(水)は、自分の山行にて那須朝日岳へ。
ここには、東南稜という入門の岩稜ルートがあると聞き。

パートナーは、富士山ガイド仲間の渡辺佐智さん。

<正面のピークから、左手前に伸びるボロそうな尾根が、東南稜>
佐智さんは、夏は富士山ですが、冬は水上を拠点にバックカントリーガイドをやっており、日本雪崩ネットワークの講師もしております。

ちなみに、尾瀬でもガイドをしていて、FEWという女子登山ツアーガイドも企画しています。

僕から見ると
「定住すらせず。一体、どんだけ忙しい人なんだ!?」

って人です。

もちろん、ガイディングの腕はたしか。
(バックカントリーの世界は分かりませんが、富士山で見ている限り相当上手い。)

数少ない冬山の女性ガイドとして、雑誌にも度々登場し、本当に忙しそうです。

<カメラを向けられると、必ずポーズを決めてくれるあたりは、雑誌慣れの賜か!?>
でも、クライミングの方は初心者なので、異文化コミュニケーションとして刺激になりました。

具体的には

・やっぱり、雪崩に対する警戒心は、我々クライマーより遥かに上。

ちょっとした雪の斜面をトラバースするんでも、軽く雪の層を観察している。
本当は、スノーソーを使って、より精確に観察したそうだった。
・ラッセルが、めちゃくちゃ早い。
私がラッセルしようものなら、直ぐ様
「代わりましょうか!?」
と聞いて来る。
小松由佳を彷彿とさせる勢い。

下りのラッセルに至っては、もはや追いつけないレベルに走り下っている。

聞けば、週5日はバックカントリーガイドに出かけ、さらに残りの2日間も雪の観察・プライベート山行・雪崩の研修などで雪山に入る生活。
週7日も雪と戯れてたら、そりゃあ半端じゃないですよ。

<1P目は、ほとんど歩きのようだが、一応ロープを出す>
・その反面、アイゼンには不慣れ。

ほぼ毎日、雪山に入っていても、アイゼンで歩くことはほとんど無いそうだ。
たしかに、ルート中でのアイゼン歩行は遅かった。

・同じ山を見ても、視点が全く違う。

私は、アイゼンで登りやすそうな岩稜や雪稜、そして、そこまでの歩きのアプローチを目で追う。
彼女は、滑って楽しそうな雪面、そして、そこまでのシールのアプローチを目で追う。

<次は、ちょっとした懸垂下降>
・雪面に日が差しているかどうか、などの状況の変化に、敏感。

ちょっとした岩を巻くのでも、どちらの雪面はどんな雪の硬さなのか、今後どうなりそうか(雪が溶けて悪くなりそう、など)を、とても細かく見ている。

<2P目は、敢えて難しそうな直登ラインを行く。それでもⅢ級+くらい。>
・クライマーとは生活リズムが違う
朝8時過ぎに入山、午後3時には下山、というスタイルでバックカントリーに入ることが多いそうだ。
たしかに、そのリズムくらいじゃないと、毎日は無理そう。

<あとは、ほとんどガレ場を歩く。頂上直下で、また敢えて1Pだけ岩を登ったけど、これもⅢ級くらい。>
私も雪山に入る身ですが、「彼女に比べて、雪を全然見てないんだなー」という印象。

今まで、バックカントリーの方々に対して

・雪崩に詳しい
・滑りが上手い

という程度の認識でした。

<時間があれば寄りたかった茶臼岳。今度の楽しみに>
彼らは、私なんかより雪山のプロですね。

ただ、クライミング系のガイドでも、私より強い方々は雪も詳しそうなんで、一概には比べられませんが。
「せっかくなんで、東南稜が講習に使えたら」
という下見もあったんですが、あまり使えそうな場面は思いあたりませんでした。

入門ルートなので、自立したら、ぜひ自力で登ってください。