2017年12月18日月曜日

高い下駄

12月16日(土)、17日(日)は、岩場リード講習にて、湯河原。
1日目は、女性Mさん、女性ISさん。
2日目は、女性FSさん、男性MKさん、女性MKさん、女性MYさん。
今回、MKさんにはゼルダ(5.11a)をトライしてもらいました。

これまで岩場でリードした最高グレードは、5.10a。
ジムで5.11を登っているとは言え、明らかな飛び級です。
グレードは伝えずにトライしてもらったのですが、数回テンションかけて
「これ、明らかにオーバーグレードな感じなんですけど。」
と本人が仰ります。
「まぁ、敗退しても良いから、何回かそのムーヴやってみたら良いですよ。ダメなら、そこを割愛して上部だけトライしてみても良いですよ。」

こんなやり取りを繰り返し、結局はムーヴ解決してトップアウト。
後からグレードを聞いて、驚くMKさん。
「でもこれ、石田さんが言わなかったら絶対自分では取りつかなかったし、取りついたとしても敗退していたと思います。」
という率直な感想。

たしかに、私が下駄をはかせた部分はあると思います。ただ、それを自覚しておいて、自分なりに足りないものを補おうという気持ちがあれば十分だと思います。

※マスターオンサイトで取りついているので、物理的な手助けはしていない。
少し話を大きくすると、初心者を岩場に連れて行くと、どうしても下駄をはかせてあげたくなる指導者心理があります。

・トップロープを張ってあげて、難しいのを触らせてあげたい。
・ヌンチャクを掛けてあげて、ちょっと背伸びさせてあげたい。
・トップアウト出来なかったら、ヌンチャクを回収してあげる前提で、難しいのにトライさせたい。
・プリクリップしてあげて、少し背伸びのルートにトライさせたい。
・核心ムーヴを教えてあげて、・・・。

などなど。

これでグレードを登れて喜ぶ初心者、感謝される先輩、という構図はよくあるものです。
下駄をはかせるのは、完全に悪だとは思いません。
ときには、それが初心者の視野を広げるときもあると思います。

ただ、はかせる側にも熟慮が必要だし、初心者側も時には断る勇気が必要でしょう。

入門バリエーションやマルチに行くと、従順な女性初心者を連れまわしたがる男性中級者、という構図もよく見ます。
そのペアを全否定する気もありません。誰と登るかは、好みですから。
ただ、双方がデメリットに自覚的に行動した方が良いでしょうね。