2016年1月4日月曜日

出し切る

12月29日(火)に出発、30日(水)~1月3日(日)まで、三重県の神須ノ鼻にてクライミング。
えのきど先生、大阪のHさんと。
<55mの懸垂下降にて、アプローチ>

自分の力を振り絞ったとき、なんとも言えない高揚感があります。
それを味わうことは、クライミングを続けている意味の1つだと思います。
<懸垂下降中>

出し切ると言えば、スポーツ的な限界が分かりやすいですね。

ボルダリングで、背中に思いっきり力を入れてホールドを止めた瞬間。
「楽しい・・・。」
と思う人は、多いでしょう。

ルートでも、オンサイトトライでゼエハア言わされながら、核心を抜けた瞬間。
「超、頑張ったー!!!」
と大興奮です。
今回は、“みたま”(5.11-)のオンサイトで、それを実感しました。
<この景色>

今回は、他にも色々と出し切りました。

例えば、5.10台~5.11前半からして、クラックが一部途切れるルートが揃います!

必然的に、プロテクションがオブザベ段階で予測できないことが多いです。
「あーでもない、こーでもない。」
と試行錯誤して、カムセットしていきます。

また、クラックが途切れがちだとフェースムーヴが増えるので、ムーヴを読むのも大変。
5.10台も、侮れません。

レストを繰り返しながら、頭をフル回転させて高度を稼いで行きます。

肉体ではなく、頭脳戦に対して
「いやー、今がんばったなー。」
と褒めてあげたくなります。
<ミズガキの末端壁を上回る?>

さらに、トライしたルートの中には、Rが付きそうなリスクあるルートもありました。
“ほしそら”(5.11-)

前進用のカムにテンション掛けつつ、何とかトップアウト。
(怖くて落ちれませんが、幸いランナウトはしない。)

そして、2トライ目をするか逡巡しましたが、
「ムーヴもプロテクション位置も分かっているし。最悪リズムが狂ったら、そっとテンションで。」
と意を決してトライ。

「これが、イギリスとかのトラッドクライミングなのか?」
というドキドキを感じつつ、R.P.。

これは、精神に来ました。
<アマテラス(5.10)>

また、このエリアは15分程度の歩きに加えて、55mの懸垂下降でのアプローチになります。
帰りは、ユマーリングになるので、疲れた身体に鞭打ちます(笑)。

私は、油断してユマール+グリグリという“ユマグリ”で臨んでしまったので、結構大変。

また、ロープの岩角への擦れ対策、荷揚げを考慮に入れる、などのロープワーク技術も要求されます。
これまた、頭を使いますね。

ただ、偶然にも初日にエリア慣れした人に情報を聞いたのと、ユマール慣れしたえのきど先生がパートナーだったこともあり、今回のプレッシャーは少なく済みました。
<“いはくら”をオンサイトした、chippe先生>

そして、R.P.トライの緊張感も、たっぷり味わいました。

3日目の午前中、“いはくら(5.11+)”のオンサイト失敗して、数回で核心ムーヴは出来たものの、今一歩ムーヴが固まらず。

このエリアには珍しく、ルートの8割以上がプロテクションが簡単に取れる綺麗なクラックです。
ゆえに、スポーツ的な限界に挑める次第。
<たらちね(5.10-)>

そのまま、暑すぎる昼間をイメトレに費やして、午後3時に2トライ目。

「ムーヴ固まって無くても、押し切る!」
と気合いを入れたものの、またフォール。

もう1時間遅らせてトライすべきでした。
諦めて、ユマーリングして帰ります。

ただ、この暑い中でも出来るムーヴを発見したので、翌日に望みをつなぎます。
<ほしそら(5.11-)>

4日目の午前中、通算3トライ目。

連続するオフフィンガーで、指関節やら皮やらが限界の痛みに達して来ました。

「まだ日数はあるけど、このサイズの本気トライはラストチャンス!」
とプレッシャーを感じて、最終出撃。

途中、流血でジャミングがヌメッてくるという誤算もあり、必死のクライムダウンも交えたので、パートナーは「大丈夫か?」と心配になったそうです。

でも、必死の思いで核心ムーヴだけはイメージ通りに成功!

なんとかR.P.に辿り着きました。
<ますらを(5.10+)>

R.P.は、ムーヴやプロテクションを記憶するだけに、
「失敗したくない!」
というプレッシャーが強くなります。

十分にイメトレして緊張感を高め、トライ前に腹を下し、最終的に平常心の中に自身が満ち溢れるような精神状態になってから、スタート!

いやはや、思い出すだけで疲れます。

でも、それだけに登れたときの感動も、大きいものです。
<絶景かな>

ちなみに、今回は携帯電話の電波状態が、かなり悪かったです。

事故が起こった場合、ユマーリングは無理なので、船かヘリコプターへの救助要請となりますが、これまた大変。
出だしの着地失敗で、足首捻挫しただけでも、かなり面倒なことになりそうです。

ちょっと慎重めに判断しつつ、という気持ちも入り混じったのは確かです。
<2日目の小雨で、洞穴が大賑わい>

そんな訳で、本当に色々な面で、自分の力を振り絞れたと思います。

お陰さまで、爽快感でいっぱいです。
<帰りは、ユマーリング>

また、この岩場を開拓してくれた方々には、深い感謝です。

終了点用のボルトのみならず、懸垂下降&ユマーリング用のボルト、トポの作成、などなど。
全体を通して、熱い精神性を感じます。

ありがたく、登らせていただきました。
<3日目>

私、普段の講習では、細かい技術や、小さな成長を喜ぶことをお伝えしております。
でも、自分の心に残るのは、全力を出し切った登りですね。

昨年の自分の登りだと、
・ジェードルルート(5.11c、三倉)のオンサイト
・夏の単独トポ無し沢登り
・土竜(5.10d、ワイド)の初登
・マスター・オブ・ザ・ゲーム(5.12b、フェース)のR.P.

あたりが、一番記憶に残りました。
<高砂(5.10)>

小さな成長、本気トライ、どちらも大切に登って行きたいものですね。
<いはくら(5.11+)>

具体的に登ったルート
初日:
・ますらを(5.10+) オンサイト フェースっぽくて考えさせられる
・いかづち(5.10-) フラッシュ ちょっと際どいステミング
・とこしへ(5.11-) オンサイト 難しくはないが、頭は使いまくり。1時間30分かかった。
・ほしそら(5.11-) 1トライ目は、テンション掛けまくり。2撃。Rを付ける可能性を感じる、微妙なプロテクションのため、落ちることは出来なかった。
・みたま(5.11-) オンサイト ムーヴが分からず、核心前で15分くらい行きつ戻りつ(笑)。「超、頑張った!」
<同じく、いはくら>

2日目:
・たらちね(5.10-) フラッシュ 貴重なハンド~チムニー。雨が降って来たので、抜け口で10分くらい行きつ戻りつしてしまった。

本日は、レスト日に変更して、午後から伊勢神宮へ。
<長いルートは、30mクラス>

3日目:
・梓弓(5.10) フラッシュ このエリアの中では比較的登りやすい。トップロープでもう1回登って、アップ。
・いはくら(5.11+) 午前中1トライ、午後1トライ。ムーヴは何となく固まる。
<梓弓(5.10)>

4日目:
・梓弓(5.10) 再登&トップロープで、ウォームアップ。
・いはくら(5.11+) R.P.(通算3トライ目) 素晴らしいオフフィンガー~シンハンドクラックでした。
・日の丸(5.11-) オンサイト 核心は非常に細いが、珍しくムーヴが読みやすかった1本。
・高砂(5.10) フラッシュ ステミングかワイド登りか
・大和(5.10+) フォロー フェースっぽくて考えさせられる
・アマテラス(5.10) フラッシュ 核心は非常に短く、「悪っ!!」の一言。
<Hさん>

5日目:
午前中は、小雨にて熊野神社へ。
那智の滝も見て来ました。

・渡津海(わたつみ)(5.10) フラッシュ もはや、指が痛すぎてジャミングしたくない(笑)。
・梓弓(5.10) 再登 えのきど先生がビデオ撮影するというので、お手伝い。
・草薙(5.10) フラッシュ ムーヴは易しいが、プロテクションはすごく考えるので、今日の自分に程よいルート。
<では、また来ます>

最後に、ルート全般に対する感想。

このエリアはプロテクションが難しい5.10台が多く、帰りのユマーリングも含めて、敷居は高めだと思います。
5.9や5.10-も、グレードぎりぎりの人には難しそうなものが多かったです。

5.10中盤なら大体オンサイトできる山屋系の人なら、ギリギリ楽しめかな?という印象です。
5.11前半のオンサイト経験と、ユマーリング経験があると尚良いですね。

ただ、ルート数は多く、ロケーションも良く、それでいて内容も濃く。
とても素晴らしいエリアでした。