2019年5月7日火曜日

落ちられる系

5月6日(月、祝)は、クラックリード講習にて、湯川。
女性Hさん、復習参加の女性FSさん、復習参加の男性MKさん。
落ちるのが苦手な人(以下、落ちない系)、足首くらいなら落ちられる人(落ちられる系)、というのはクラックリード卒業生でもあります。

落ちない系の人は、プロテクション間隔が狭く、通常は安心して見ていられます。
ただ、落ちたくない気持ちのあまり、効いていないカムにクリップしてしまい、かえって手繰り落ち相当のフォールを経験する人も多いです。
基本的には、落ちられる系の方が優れていると思います。

・フォール時の受身をイメージしながらムーヴを起こす意識
・墜落距離の計算をしながら登る意識
などが、前提にあるはずなので。

安全に落ちられるならば、完登へのチャレンジも出来ますし、クライミング能力の上達速度も速いでしょう。

頻繁にひっくり返って落ちる人、テラスに激突などを考えずに闇雲に突っ込む人は、落ちられる系には含めません。
ただの危険人物、という位置づけです。
ここまでは、いつもの話。
本日、落ちられる系の人ならではの失敗がありましたので、御紹介。

①胸の前あたりで、プロテクションセット。
⇒安心して、1歩進む。

②最終プロテクションが、腰あたり。
⇒全く、次のプロテクションを取るそぶりは見えず、登り進む。

③最終プロテクションが、膝あたり。
⇒やや苦しい態勢だったこともあり、それほどプロテクションセット態勢を画策せず、もう一歩進む。

④最終プロテクションが、足首あたり。
⇒かなり苦しい態勢。プロテクションセットを試みるも、難しい状況。ただ、15cmくらい上に大きなスタンスがあったので、そこに乗ることに。

⑤最終プロテクションが、ちょうど足元あたり。
⇒良いスタンスは、右足のみ。片足で、プロテクションセット態勢を作るのに大苦戦。しかも、墜落距離から考えて、もう一歩進むとグランドフォールのリスク大。足元ランナウトは、さすがに恐怖心もあるようで、ついつい効きの悪いカムにクリップしたくなったり。最終的には、どうにかプロテクションセット出来て、力尽きる。これにてテンション。
イメージ出来たでしょうか。

落ちられる系の人であっても、②や③の場面でプロテクションセットしておくことが、この場合は完登に繋がったのでないかと思います。

プロテクション間隔が狭いと疲れてしまうので、避けたい気持ちは理解できますが。
最後に、
「私は落ちられない系だから、そんな怖い目には遭わないぞ。むしろ、効いてないカムにクリップしないようにだな。安心!」
と思った人もいらっしゃると思います。

たしかに、その通りです。
ただ、大抵の講習生は進化するもので、徐々に落ちられる系に変身してきたりもします。

そのときになって、落ちられる系がついついギリギリまで突っ込む気持ちが理解出来ちゃうかもしれません。
予言めいたことを言うようですが、そういう人を何人も見ているので。
<懸垂下降にて、カム回収>

実践本気トライ
FSさん:曲がり煎餅(5.8) 一応フラッシュ。ただし、安全上の問題があったので、夕方にキチンと再登してもらいました。

MKさん:草餅(5.9) O.S.
     無名フィンガー(5.10a?) ハングドッグして、ムーヴ解決。トップアウト。
<無名フィンガー>