講習主催は、スリップストリームというカナダの野外救急法に関する会社。
今、日本に野外救急法を広めようとしている団体です。
さて、内容に関して。
例えば、大きな墜落や落石の後、怪我人を動かして良いものか悩んだことはないでしょうか?
とりあえず大丈夫そうな雰囲気だからと動かしちゃった経験や、逆に大事を取って救助を呼んだ経験は、僕にもあります。
動かしてはいけない例というのは、骨盤骨折や脊椎損傷の疑いがある場合ですね。
実際の講習内容
・そんな場合のちゃんとした固定法
・「軽傷で固定しなくて良い」、「固定して、自力下山でオーケー」と判断するためのチェック項目
・バイタルサイン(脈拍、呼吸数、瞳孔の開き具合、など)、痛みの箇所、などの傷病事故記録の取り方
・その他、代表的な怪我、病気について
・実践形式のトレーニング
昨年が、日本での初開催だそうで、正直イマイチな面も多々ありました。
が、今年は劇的に改善されており、来年は相当オススメの講習になるかと思います。
講師は激アツ、スリップストリームは超が付く本気です。
僕も、来年も是非復習に参加したいです。
さて、ここまで読んで興味を持たれた方向けに、僕が感じたことを情報として載せます。
とりあえず現在は、インストラクター、ガイドなどの野外活動のプロ向けの講習の感は強いです。
理由は、
・料金が6万円以上(今の円高で)
・裁判対策的な色合いがある
・平日5日間連続の合宿形式がメイン
・かなり実体験が無いと、知識量に押されがち
・日本の実情にマッチした内容になるのは、将来的な目標
などなど
あと1つ。受けることを検討する方に言えるのは、
・野外救急法で言う"野外"は、夏山登山道(岩場はほとんど無し)、数時間程度の雪山ハイキング、フリークライミングのゲレンデ、くらいのイメージです。
そもそも、雪山の稜線での「本当なら固定すべきだけど、このままにしてたら死ぬかもしれない」といった状況で、リスクを天秤に掛ける判断材料は、あまり期待しない方が良いです。
基本的に、固定が必要ならちゃんと固定して担架で運ぶことを学びます。
ファーストエイドの王道、つまり"タテマエ"を学ぶ場なのです。
今回のメンバーは、富士山ガイドの仲間たち、僕がガイド試験を受けた仲間、その試験官を務めるような大物ガイドの面々、山スキーガイドの面々など。
ただ、安全意識の特に高い一般のクライマーや登山者も受けに来てはいました。
では、興味のある一般の方へ。
まず消防署などで、町の救命救急法を受講して、さらに入門書で勉強して、簡単な固定法も練習して。
それから受講を考えると良いと思いますよ。あまりにも内容が濃いので、消化不良も請け合いなので。
入門書には、ヤマケイの『登山医学入門』(ヤマケイテクニカルブックスシリーズ)がオススメです。