2014年5月29日木曜日

読図講習で、ちょっとバリエーション気分

.5月28日(水)は、奥多摩にて読図講習。

この前夜、ランナウトにて、悲願の初5.11aをレッドポイントした、女性TZさん。
加えて、ドタ参加の女性MJさん。
読図講習の第一段階は、

・尾根、沢
・コル、小ピーク
・コンパスの使い方

といった基本を総点検。
ただ、当塾の場合、バリエーションを目指す人が多いこともあって、一気に第二段階へ。

・バリエーション尾根の下降

を行います。

もちろん、私は黒子に徹しますので、相談相手はパートナーのみ。
で、これには色々トラブルが付き物。

・前半の講習をゆっくりやれば、バリエーションを下り始めるのが遅くなる

・尾根を間違えれば、急斜面に出くわす可能性あり

・判断に迷う状況なら、どんどんと夕暮れが近付く
<笑顔のイレブン様>

本日は、その全てが重なってしまい、迷い迷って19時前に急斜面で行き詰まり(笑)。

マルチピッチリード講習を受けている2人ですので、そのままヘッドライトで懸垂下降をして、切り抜けてもらいました。
読図講習としては、最終課題の出来はイマイチ(笑)。

でも、何とか切り抜けたサマは、ちょっとクライマーっぽかったです。
(特に、ロープワークに慣れて来たTZさんの手際が、なかなかカッコイイ。)
それと、MJさんが悔しさを露わにして、
「何とかリベンジして、このモヤモヤを晴らしたい!」

と、繰り返し言っていたのが、印象的でした。

最初は、上手く行かない人の方が、上達することも多いです。
そのモヤモヤをバネに、頑張って欲しいですね。
<ここまでは、割りと順調だったが>

<まさかのヘッデン下山>

2014年5月27日火曜日

クラック、オンサイトグレード更新

5月26日(月)は、ミズガキのカサメリ沢、秋場所ロック。
えのきどさん、女性SMさんに、またまた混ぜてもらって。
このエリア、1年半前にも、えのきどさんに連れてきてもらいました。

なんでも、昔開拓されたまま、見向きもされず自然に帰ってしまったクラックエリアだとか。

でも、駐車場から15分程度とアプローチ至近のこともあって、えのきどさんが再開拓。
苔は落として、ちょっとした人気エリアの予感を感じさせるまでに復活しています。

秋か冬のロクスノにも、載せるつもりみたいです。
で、本日の私は、だいぶ疲れておりました。

しかも、午後から雨が降る可能性大。

「まぁ、軽めに流すんでも。」
と思っていたら、不思議と成果が出ました。
①Walk On(5.11d、フィンガー~ハンド、フェースっぽい)

まさかのオンサイト。
オブザベしたときから、グレードより易しそうな予感はしていたので、思いっきり狙って行きました(笑)。

ただ、ヨセミテで5.11bをオンサイトしてから7年が経ちました。

2年前くらいから、5.11後半もたまにはオンサイトできるはずなんじゃないかと思っていたので、結果が出て良かったです。

僕の体感は、5.11cかな。
えのきどさん体感も、5.11c/dで易しめだそうです。

②文武は両道(5.11d、フィンガー)

実質的に、フラッシュ。
上部は、Walk Onと共通だが、そこは比較的易しいワイド(5.9程度)。

こちらの方が、明らかに難しそう。
ただ、SMさんがハングドッグしながらムーヴやカムセットするのを、ビレイ中に観察。
どうせビレイするなら、フラッシュ狙いで(笑)。

リーチ的に小核心が無くなっちゃうのも2ヶ所、イメージ通りに通過(笑)。

それでも、だいぶ危うい感じで、吠えまくって完登!

こっちは、バッチリ5.11dあるんじゃないでしょうか。
最近、特にガツガツ登っていた訳ではないんですが・・・。

でも、花崗岩は毎週1回以上は触っていたので、フリクションに感覚が付いてきたのかもしれません。

それと、先週まではクラックのムーヴが、どうもオブザベーションできないことが多くて、
「ワイドも、フィンガーも、登り方忘れちまったよー。」

と思っていたのですが、なぜか本日は昨シーズン終了時くらいには、ムーヴのオブザベが出来ました。
クライミングは感覚が大事なんですねー、と再確認でした。

具体的に登ったルート
①名無しの権兵衛(5.10a) アップ

あとは、上記2本のみ。

マルチピッチリード講習は、自由

5月24日(土)、25日(日)は、小川山にてマルチピッチリード講習。
女性WNさん、女性MJさんの2人。
<ビレイポイント作りをスポットするMJさん>

マルチピッチリード講習では、私から講義形式で教えることは、ほとんどありません。

せいぜい、講習1日目~3日目くらいの段階で、

・セカンドの確保方法を理解しているか、チェックする
・カムなど、複数支点でのビレイポイントの作り方
・ピナクルなど、メインロープでのビレイポイントの作り方
・ハーケンの打ち方(これは、越沢、三ツ峠でのみ)

といったことを、登り始める前に練習するくらい。
<オブザベ中>

講習の流れ

①私が壁を指定して、それを残置無視で登れるラインを講習生がオブザベ。
②実際に登る
③登りながら、改善点を指摘していく

※行動する前に、こちらでアドバイスすることも、稀にある。

ただただ、これを繰り返します。
そこで、
・ロープワークの手際アップ
・敗退シナリオの立て方
・危険な方法へのダメ出し

といったことを、アドバイスして行きます。
<まだまだ、いろいろ不慣れ>

講習生は、まさに好き勝手に登れるのです(笑)。

以前、マルチピッチリード講習を受けた方が、
「登るとは何ですか?」
「安全とは何ですか?」

と、問われるような講習だと言っていましたね(笑)。
<でも、楽しそう>

残置やトポと無関係に、自由に登れる。
ということは、それだけ判断することも多い。

例えば、終了点も自由です。

私は
「仮に、ロープを付けずに登ったとして、ここに着いたら完登!と自分が思う場所。」

を終了点にしてもらいます。
例えば、分かりやすいのは

・頂上

・カッコいい岩塔

・壁の傾斜が緩んで、肩になったところ
(クライミング的に、面白い部分だけをやる発想)

そういうことさえも、自分達で決めて良いのが、マルチピッチの醍醐味だと思います。
<2人が決めた、終了点!>

ところで、当塾の場合は大半が、マルチピッチやアルパインをやりたい方々です。

ですが、マルチピッチリード講習は2人1組で5日間~10日間も掛かる訳です。
<2日目は、大貧民ルート>

ときどき思うのが、

「私が教えられる人数って、やっぱり限りがあるんだなぁ。」

1年に数人ずつがマルチ卒業するとして、10年で大きな事故なくやれたとしても、30人くらい?
<WNさん、渾身のリード>

講習生の半数以上が、マルチピッチリード講習を目指しているとはいえ・・・

マルチピッチリード講習を受けている方々との縁は、結構貴重なのかもしれない。

と、そんなことを思うのでした。
<ビレイ点作業自体は、ちょっと慣れているWNさん>

2人とも、敗退こそしましたが、マルチピッチの面白さに一層惹かれる2日間になったようです。
<次のピッチの偵察>

<ルートを変えることにして、とりあえず懸垂敗退>

<クラックを覗き込む>

<「今のピッチ、厳しくってさー。」という会話は、時間を忘れがちになる(笑)>

<時間切れ敗退>

<空中懸垂>

<大貧民ルートを振り返ると、赤い神様>

2014年5月24日土曜日

ジムのリード講習は、3回でも足りないかも

5月23日(金)は、リード1回目、2回目の連続コマ。
ムーヴLv.0から受けている男性MRKさん、新規のYO夫妻、新規男性HKさん。
HKさん、過去に他の講習会で、1時間だけリード&ビレイ講習を受けたそうです。

ただ、
「これで、本当に大丈夫?」

と不安になって、当塾に来たそうです。

対する、当塾は3時間×3回。
たぶん、業界の中でも、トップクラスの長時間じゃないでしょうか?
それでも、最近思うのは、
「3回でも、時間に追われるなぁ。」

実際、
「もう1回、3回目を受けた方が良いですよ。」
と、補習をお願いすることが、いかに多いか(笑)。

全4回にするか、参加条件を厳しくするか、思案中です。

例えば、こんな感じ・・・

現行の参加条件:
トップロープのビレイが出来ること

考え中の参加条件:
下記のうち、どちらかを満たしていること

①無料体験講習orムーヴ講習Lv.0で、リード講習の参加O.K.と言われている
②すでに、ジムで10日以上のリード&ビレイ経験がある。効率的な方法、実際に落ちたらどうなるか、詳しく学ぶ気持ちがある

参加条件も、進級して来た人と、そうでない人を別枠で設定した方が良いのかなぁと。

2014年5月23日金曜日

微調整する習慣

5月22日(木)は、ムーヴ講習Lv.0。
全員新規で女性YDさん、男性THさん、男性KSさん、男性SKさん。
①あるホールドでレストするときに、ちょっと態勢を変えると、安定することがあります。

②あるスタンスに置いているときに、ちょっと足をずらすと、足指が馴染むことがあります。

③あるホールドを持つときに、ちょっと持ち直すと、指皮が馴染むことがあります。

これらの微調整、やればやるほどクライミングが上手くなると思います。


「おっ!この方が、ちょっと良いかも。」
っていう、経験値が貯まるのです。
これで、本人的には
「こういうときは、こうすると楽。こうすると安定する。」

という経験値を貯めて行きます。

で、それで変な癖が付くようなら、それを再度のムーヴ講習で矯正することも出来ます。

まずは、
「こうやった方が、バランスが良いかな?」

と、試しながら登る習慣を身につけると良いですよ。

そこがスタートラインかな、と最近思います。

具体的な講習内容
・ダブルチェック
・カラビナの持ち方
・ロワーダウンされる態勢
・トップロープの張り具合
・1手1手レストしながら登る練習
・骨盤の位置
・足を微調整する方法

2014年5月22日木曜日

ロープワーク優等生

5月21日(水)は、岩場リードが雨中止で、ストーンマジック。
男性ONさん。
ONさんは、講習申し込みそのものが、2ヶ月に1回くらい。
これは、お仕事の忙しさもあるので、止む無し。

さらに、雨確率が高い。

岩場での講習は1回(2日間)だけなのに、ロープワーク講習は4回目(?)。
とはいえ、本人も好きでいらっしゃる様子(笑)。

講習した内容の定着度で、モチベーションを測るなら・・・
3割の講習生から、8割の講習生まで、本当に様々。

で、ONさんは、ロープワークでは8割タイプ!
良い復習してらっしゃいます。
さすがに、岩場日数に比べて、ロープワークが先行している感はあります(笑)。

でも、今現在マルチピッチリード講習を受けている方々が、ロープワーク能力不足を痛感していたりもします。
いざ受けようと思っても、雨が降らないこともありますからねー。

そんな彼ら彼女らよりも、ロープが上手く畳めるONさん。
これはこれで、大きなアドバンテージになると思いますよ。
具体的な講習内容
・ロープの畳み方(とりあえずO.K.)
・ロープの背負い方(より、洗練)
・終了点作業の練習
(結び替えパターン、懸垂下降パターン、いろいろ)

・懸垂下降の仮固定
・登り返し

・ムーヴ講習的に、リード練習2時間
落ちる練習、止める練習、実践本気トライ

2014年5月21日水曜日

NAGATO CLIBMING SCHOOL が開業

5月19日(月)は、自分のクライミングで、ミズガキの末端壁。
えのきどさん、お連れの女性S村さん。
尊敬する先輩クライマーの、長門敬明さんがクライミングスクールを開業しました。

http://nagatoclimbingschool.web.fc2.com/index.html

とても、とてもオススメです。
オススメ理由①
「登れる」

全てのクライミングジャンル、登山において、私なんかより遥かに高いレベルと経験量。

「登れる」
ということは、初心者を教えるんでも、大事だと思っています。

まず、真面目に取り組んで来たものですから、本気で伝えようとしてくれるはずです。
さらに、私の経験でも、ちょっと上達を感じるごとに、それが教え方にも反映されるのを感じます。
オススメ理由②
「人柄」

過去に、2回の長期にお付き合いいただきました。
1ヶ月のヨセミテツアー、3月に2週間弱の黒部横断。

(ヨセミテは、ビッグウォールは中止。黒部横断は、剱岳には行けずに立山越え。)

どちらも、私の不手際や実力不足で、長門さんが思い描くような成果は挙げられませんでした。

それ自体、実力差があれば珍しくもないのですが・・・。
そんなときでも、パートナーに対するプレッシャーの掛けなさ、優しい気遣い。

20代で、一気に成長するクライマーは、血気盛んなぐらいが多いんです。

そんな中で、アスリートのようなモチベーションと、女性的な優しさ。

「こんな人、居るんだ!」
と、私は思っています。
オススメ理由③
「丁寧さ」

私が
「上手い人も、これには時間掛けて丁寧にやってましたよ。」

と話すとき、7割方は頭に思い描いているのは、長門さんです。

ギアのラッキング、カムセット、冬山の生活技術、全てが丁寧!

長門さんと登っていると、自分が初心者のような気がしてきます。

だから、今でも一緒に登るときは、ついつい長門さんの一挙手一投足を、凝視してしまいます。
それだけでも、私には勉強になります。
<本日とは関係ないけど、長門さんが末端壁で登る様子>

私みたいな教え好きが講じて、というのも1つです。

が、本物に教わる、というのも良いと思います。
長門さんは、説明も丁寧で、物腰も柔らかいので、質問もしやすいです。

例によって、開業したては、予約が取りやすいので、興味ある方は連絡してみてください。



本日、登ったルート
・調和の幻想1P目(5.9) 再登。その後、トップロープでも1回。

・アストロドーム(5.11a) 再登。マジで落ちそうだったけれど、意地で。

・ペガサス1P目(5.10d)、2P目(5.11a)を繋げて(60mの超ロングルートになる)
2時間掛けて完登。
2P目のフラッシュ成功でもある。
ちなみに、1P目はウォームアップなどを含めると、過去に10回くらい登っていると思う。

さらに、懸垂回収も3ピッチに及び、30分ぐらい掛かった。
あまりにヘロヘロになって、下山も足がガクガクに。

2014年5月20日火曜日

講習生は、遅いけれど、いずれ出来る人になるハズ

5月18日(日)は、三ツ峠にてマルチピッチリード講習。
最近は、月1回の受講にしているYZ夫妻。
<オブザベーション>

以前も書いたように思いますが、初心者に

“初登攀の気分で”
(残置無視、トポ無視)

といったスタイルを教えることは、とてもゆっくりになります。
<今回も、奥様のリード>

三ツ峠や越沢バットレスで、

常連さんが2時間でトップアウトしているのを横目に、

我々は5時間、6時間を掛けて、牛歩のように進んで行きます。
<ビレイポイント作りも、前回より確実に>

ただ、正直言って、三ツ峠の常連さんよりも講習生の方が、実は勝っているように感じています。

掛かる時間は、倍以上だけれども(笑)。
<核心部は、ハンド~フィストのクラック>

理由①:条件が違う

・残置を使うだけなら、カムセットの時間も無い。
・残置を追うだけなら、ルートファインディングも半減。
・何度か登ったルートなら、ロープワークの作業だけに集中できる。

つまり、講習で教えている、
・プロテクション戦略
・敗退シナリオ

など、ほとんど無しでも登れてしまう。
<このピッチも、美しいクラック>

理由②:安全基準が違う

三ツ峠で、他のパーティを見ていると、以下のような人をイッパイ見かけました。

・テラスで、セルフを取らないでウロウロしている人
(特に、パートナーに押される、他パーティーのロープなどで、巻き込まれ事故の可能性がある場面でも)

・セカンドの確保で、ATCでダイレクトビレイをしている人
(グリップビレイにしか、ならない)

・残置を使うにしても、しっかりしたボルトと、ボロイ残置の区別をしていない人
(ビレイポイントは、ハンガーボルトを使っても、パートナーには隣のボロ残置でセルフを取らせる、など)

・リードで、ランナウトしているのに、足置きが雑な人
(見ていて、心臓に悪い)

・ボロイ残置にスリングが垂れていたら、残置の状態を確認もせずにA0している人
(しかも、リード中)

・ちょっとしたセルフビレイなら、リングボルト1本で済ます人
理由③:練習意識が違う
講習方針で、
ゆっくりで良いから、確実な方法を!

初心者なんだから!
手際よくやることよりも、考えてやることを重視。
<恒例の、ピナクルでビレイ>

そうは思いつつ。

他パーティーが来れば、
「どうぞ、どうぞ。我々、初心者で遅いんで。」

と言って、抜いて頂きます(笑)。
<雑誌の表紙にでもなりそうな、表情>

でも、こうやって練習しないと、5年後に中上級者になる道のりは開けないように思っています。

・スタイル
・安全管理
・練習方法

の何か1つでも、大きく欠けたら、一生初級者止まりなんじゃないかと再認識した1日でした。
<次回のラインを、オブザベーションして帰ります>