登山講習、読図講習、ジム講習から、リード講習、クラック講習、マルチピッチ講習、雪上訓練、救助訓練、アイスクライミング講習まで。 初心者の富士登山から、アルパインクライミングを目指す方まで全力サポート。
2010年7月30日金曜日
雷で敗退
5合目で挨拶する段階で、全員がお鉢めぐり希望者。それもそのはず、ツアー名が「剣ヶ峰とお鉢めぐり」な上に、お客様は仙台からの遠征なのです。
実際、昼間のツアーは80代レベルの体力でも登頂できるので、今回も吉田口までは全員完登。
しかし、ほとんどの方が参加したお鉢めぐりですが、剣ヶ峰直前で雷の危険で敗退。
ガイドとしては「あと30分、ツアー進行を早めていれば剣ヶ峰に行けたのに」と煮え湯を飲まされました。
ゆっくり登って1人でも多くの方に登ってもらうことと、雷時間帯を考えてツアーを早めること、難しい両立です。でも、安全とスピードの両立を考える自分の登山に、どこか似ています。
お客様はそれぞれに満足していただけたので、次回以降の課題としたいです。
全員登頂!
今回は、茨城からのお客様達。
ツアーの平均的な傾向としては、「関東近郊は料金も安い。体力のある若者が多い。装備などは悪い。諦めも良い。」、「九州などの遠方は料金も高い。中高年が多い。準備は万端。体力のギリギリまでは諦めない強い意思。」となっています。
しかし、今回は関東近郊の真逆でした。平均レベルは、かなり弱い部類です。そして、渾身の力を出し切り、気合いの全員登頂。
分からないものですねえ。もちろん、下山はそれなりに苦労しましたが。
今回の勝因は、「ツアー全体で一番体力が無い人が諦めず、周りも励まされた」、「体力に余裕のある人が、声を出して全体の雰囲気を盛り上げた」ということでしょうか。
バス添乗員さんも含めて、全員がバリバリの茨城訛り。アットホームで楽しいツアーでした。
還暦のお鉢めぐり
今回は、夜間登山で吉田口山頂を極めた後に、そのまま早朝のお鉢めぐりもするツアー。
富士山のお鉢めぐりは、噴火口の周りを歩く周遊コースですが、1時間~2時間掛かり、割愛する登山者も多いです。
しかし、お鉢めぐりをしないと富士山の真の山頂(剣ヶ峰:3776m)を踏めない、お鉢めぐりの最高の展望、案外アップダウンが少なくてお散歩気分、であることから私は強くオススメしています。
もちろん、高山病、午後の雷、日帰りっぽい行程だと下山が辛くなる、などの問題はあるのですが。 (ツアーでは、ガイドが判断・補助できる。)
今回は、中四国のお客様達で、父母娘の3人家族が居ました。なんでも、登山初心者の一家で、娘さん(噂の山スカートでした)がお父さんの還暦のプレゼントに、富士登山に参加することにしたとか。
剣ヶ峰の直下で、お父さんが「疲れたから、ここで待ってるよ」と言ったのを、娘さんに引っ張ってきてもらったり、本当に仲の良い家族でした。
山頂御来光+お鉢のツアーは、午後に入山、夕方から仮眠して12時前から夜間歩行、朝4時に吉田口山頂、朝7時にお鉢めぐりを終えて下山開始、昼11時に下山、という相当ハードな行程です。
それでも山を好きになって欲しいし、それを目標にガイドも頑張らねばなりませんね。
2010年7月22日木曜日
学校登山
僕は、大学までは教員志望でした。教えるのも、子供も好きですが、学校の勉強を教える気持ちより山好きが勝って大学院を中退した次第。
今は、山を教えることを職業にしたいと考え、石田登山塾に繋がっています。
今回は、教育ではなく、ガイドでしたが、僕の好みが高い次元でマッチした興味深い仕事でした。
僕自身も、高校時代に縄文杉に修学旅行で行き、そこで靴や雨具を買ったことが、登山を始めるきっかけの1つです。
彼らは、富士山で一体何を感じたのか、僕はそれにどう影響したのか、もう知るよしもありません。が、少し気になる話です。
御来光の大渋滞at3連休
富士山の吉田ルートは、混んだ日には数千〜1万の人間が山頂に登ります。特に注目すべきは、そのほとんどが(吉田口の)山頂御来光を目指している点。
そんな人数が、狭い登山道(1人しか通れない箇所から、3列通行可能箇所まで様々)を、全く同じ時間の山頂到着を夜間に目指すのですから、渋滞は仕方ありません。
トイレ休憩場所は大混雑し、出発が少しでも遅れれば、100人や200人にも抜かれます。そして、それだけで御来光に間に合わなかったりするのです。
3連休、富士山は1年で有数の混雑日。お客様にも、「1団体抜くごとに、10分御来光に近づくと思って下さい!」とアナウンスして、半ば団体競技の様相!
睡眠時間もゼロに近いながら、激しい競争に勝ち抜いたツアーは、余裕を持って山頂に辿り着きます。すると、全員が一斉に下山開始する下山道渋滞のトップに立って、余裕で下山できます。
本当に激しい戦いで、ガイド仲間では、登山ではなく御祭りと考えられています。実際、ヘッドライトの行列が、何だか神輿の行列みたいに美しかったり・・・。
空いている富士登山か、御祭りか、どちらを選ぶかはあなた次第です。
是非とも普通の山登りを好きになって欲しいものですが、御祭りも一生に一見の価値はありますね。
冥土の土産に富士登山!
ある70代のお客様に諦めてもらう際に、「これが最後のチャンスだから、頑張らせて下さい」と懇願されました。「そこまで言うなら!」とトコトン付き合いたい気持ちは山々でしたが、やっぱり安全上無理でした。
80歳以上の富士登山も珍しくない昨今ですが、やはり人それぞれに焦りはあります。
体力の衰えと戦う努力を、「頑張れば行けますよ!」なんて軽く言うことも出来ません。僕自身も、あらゆる努力をサボって生きているし、彼らと同じ努力の経験を得ることもありません。
しかし、アスリート的な努力は無理でも、どうにかボチボチでも諦めないで欲しいとは願います。
今回、その方は80代の富士登山チャレンジの方と話す機会を得て、気持ちを切り替えて帰宅できたようです。
来年以降の再来を、お待ちしています。
2010年7月17日土曜日
2010年7月13日火曜日
5.11aのリード
5.11aを3本リード出来るまでに復調しました。まずは、7割方復活です。
ここからは足の言い訳も無い分だけ復調が早いはずなんですが、今から1ヶ月は富士山の仕事も忙しいので、ボチボチでしょうか。
ちなみに、5.11a(イレブンエー)というのはクライミングルートの難しさを表す数字です。
超入門の5.8から、5.9、5.10a、5.10b、5.10c、5.10d、5.11a、5.11b、5.11c、5.11d、5.12a、5.12b、5.12c、という具合に難しくなっていきます。
難しさのイメージとしては、「5.11aをギリギリ登れる人」でクライマーっぽい動きになり始めたくらい、5.12aで中級者(柔道で言えば初段クラス?)、それ以上のグレードはちょっとアスリート的な努力が必要なレベル、って具合です。
ちなみに、この分野での世界のトップは5.15、この道でインストラクターやるなら5.13は最低限、クライミング関係の山屋でプロ(ガイドやインストラクター)なら5.12を最低限たしなみとすべき、なんて言われています。
グレードのイメージが沸いてきたでしょうか?
5.12aまで復調したら、あとは筋力の問題が大きいので、ちゃんとトレーニングっぽくやろうと思います。
が、明日からまた富士山です。
ジム講習(ストーンマジック)
Yさんに、ロープワーク(終了点作業)を中心に。
クライミングの場合、登るのは自分の力でも、下りはロープで降ります。そして、そのロープワークには、多少の習熟が必要です。
定年過ぎても意欲的な方で、コツコツ山を学んで立派だと思います。
欲を言えば、あと2年なんて言わずに長く続けて欲しいかな〜(笑)。
ガンバです。
2010年7月11日日曜日
両足クライミング&チラシ
慰安旅行?
富士山ガイド2発目は、九州某会社の慰安旅行を担当しました。
3日の日程のうち、2日を富士登山に割いているそうで。
社長はやる気満々、社員は楽しんでる人から程々まで様々。
今回で特筆すべきは、初日の豪雨。山小屋に着くまで、突風で風速20mを越えたりもして、全身ずぶ濡れどころじゃありませんでした。
しかし、翌朝は晴天で小屋前で御来光を拝み、皆様やる気を取り戻して7割の方が吉田口山頂まで辿り着きました。
僕も、高校の修学旅行で屋久島縄文杉に行ったことが、山を始めるきっかけの1つでした。
そこで、カッパを買って、「せっかくだから」と山で遊び始めるうちに、という具合です。
今回の慰安旅行が、そんなきっかけになれば・・・。
痛い目に遭い過ぎて、ちょっと無理でしょうか。
2010年7月5日月曜日
2010年7月2日金曜日
富士山始まります
言葉尻からは軽い雰囲気が漂いますが、お客様は登山初心者が多いです。しかも、富士山モチベーションは高いので、予想外のやりがいがあります。
つまり、結構頑張ってくれちゃう分、登れるか瀬戸際のお客様、登れても山が嫌いになりそうなほどヘロヘロになるお客様は、毎回何人も現れます。
「こういった方々に、1人でも多く、なるべく楽に登頂させること」、「この機会に大人数のうち何人かでも登山を好きになってもらうこと」が大きな目標です。
理想を追えるだけに、難しくて面白いですね。
富士山から初めて、石田登山塾を利用して成長し、イッパシの登山者になる人が出たら・・・、なんて夢を見ています。
2010年7月1日木曜日
山の会
同人というのは集まりという意味で、チーム84が名前になります。
集会は、今月の山行報告と、パートナー探しや情報交換、そのほか山の世間話の場となります。
「山を始めるなら、どこか会に入りたい」と考える初心者は多いと思います。とはいえ、「どんな会に入れば良いのか分からない」というのも聞く話です。
では、どんな会が良いのか、少しだけ僕の考えを言います。
まず、昔から山岳会という集まりがあります。
これは、何のためにあるかというと、①「山仲間を集める」、②「遭難したときの捜索などを助け合う」、③「新人が山の技術を学び、中堅が新人を教えたり連れて行ったりし、山に行かなくなった大ベテランが遭難対策本部などを引き受ける、というギブアンドテイク」の3つのためです。
ただ、これだと義務が発生しやすいシステムなのが想像できるでしょうか。
そこで僕の入っているような「同人」では、先ほどの②と③を会員の義務から外しています。
つまり、「遭難しても助けてくれる保障もないが、会社を休んでまで捜索に行く義務がない」、「中堅にとっては、新人を連れて行く義務がなく、思う存分遊べる。が、新人にとっては教えてもらえる保障はない。」という個人主義的な集まりです。もちろん、仲良くなればボランティア的に何でもやりますが、見ず知らずの新人が来ても歓迎されるとは限らない訳です。
現在、本格的にやる人の中では同人や同人っぽい山岳会が主流のようです。
理由は恐らく、本格的にやる人は、自分の山行に忙しくて、新人の面倒をあまり見ないからでしょう。
あともう1つ、本格的な人は新人の頃に新人教育システムを必要としなかった人が多い、ってのもあります。といのも、そういう人は、独学で危ない目に遭いながらも基礎を学んで来たり、大学山岳部で基礎を既に学んであったり、同人に入ったのに有り余るやる気で先輩に可愛がられたり、といったパターンが多いのです。
また、山岳会では、山人口が少なくて新人を勧誘しまくったりすると、新人を選べません。すると、せっかく教えても結局山を辞める新人の割合が多くなります。結果、熱い登山者ほど"無償"で教えるのが嫌になる、なんて事情もあります。
では、普通の人が強くなるには山岳会が良いのでしょうか?
しかし、本格的にやってる人がいまや少ない山岳会では、教えてくれるのは最近は山にあまり行かない大ベテランであったり、口だけの先輩だったりすることも多く、意外と最新の技術や考え方は学びにくいものです。実際、ジムや岩場でやる気のある新人が、いま一歩の先輩に間違った技術を教わっている姿など、見ていてツラいです。
さらに、自分のヤル気よりも低い会に入ってしまうと、すぐに中堅になってしまい、新人を連れて行くばかりの損な役回りになって、本気山行にも行きにくくて辞めてしまう人も多いです。
じゃあどうすりゃ良いんだ!って話ですよね。
オススメの方法は3つです。
1つ目:
クライミングジムなど、山関係の場所で同好の友人を見付け、独学で始めます。その際、独学が危険なロープワークや雪山技術などは、お金を払ってでも講習を受けて下さい。
(石田登山塾は、そんな方に熱意を傾けますが、そのお金もキツいという若者は都岳連などの講習も意味があると思います。)
そして、基礎を身に付けた後に、同人or同人っぽい山岳会に入会して下さい。
2つ目:
自分のやる気に丁度良さそうで、雰囲気が良さそうな山岳会を頑張って探す。もちろん、初心者がこれをやるのは至難の技です。山を知らない初心者に、偉そうにホラ吹くことは簡単ですからねぇ。逆に、強い人が謙虚だったりもして・・・。
「自分の情報収集能力と人間観察力をフル活用して!」としか言えませんが、上手く回ってる山岳会、というのが存在するのも確かです。
結構、運もあると思う方法です。
3つ目:
同好の友人がやる気も充分なら、自分たちで会を作ることも出来ます。その際に、基礎を学ぶのに講習を利用するのは同じですが、みんなで受ければ1人1人は安くなったりします。
さらに、最終的に同人に入る必要もありません。
自分なりに「こういう形がやりやすい」を模索出来て、案外面白いです。
番外編:
金銭的に余裕があれば、講習以外も全てガイドさんに連れて行ってもらって、基礎を学ぶ方法もあります。これは、日本トップクラスの登山家に連れてもらいながら基礎を学ぶことも可能ですし、安全性も高く、上手くやれば最高の環境です。
ただ、山では「教えてもらうのは上手さで、自力で行って身に付くのが強さ」だと思います。強さは、危険に対する勘の良さ、ちょっとしたアクシデントへの対応力、などの経験から来るものです。連れて行ってもらって上手くなった気になりすぎるのは危ういので、簡単な山を自分で行きながら、上手さと強さのバランスを保って下さい。
案の定、長文になってしまいましたね。
山を始める人が、山岳会選びや講習選びの参考にしてくれたら幸いです。当塾も応援しますので。