2012年2月7日火曜日

ラッセルは技術

2月4日(土)は、谷川岳の天神平にて雪上訓練。
本日は、新規の女性SYさん、女性Hさんのペア。
雪上訓練のお仕事は、今シーズン3度目です。

天神平の場合、いかにも「転んだらツルリと滑りそうな斜面」、というのは見あたりません。
その反面、ラッセルを体験していただける、というメリットがあります。

この日も、スキー場の脇を歩くだけで股下までのラッセル。
初心者さんには、「どう進めば良いの?」というレベルです。
で、もちろんコツを何点か話すと、とりあえず進めるようになります。
そして、登りの斜面で胸までのラッセルも体験していただき、ピッケルも使ってみます。

一見すると、今回の2人はラッセルが上手です。
僕も、「上手く説明できたかな?」なんて嬉しい気分になります。

ただしかし!
クライミング同様、ラッセルもベテランの技というのがあります。
たとえば、僕は同じ体格・体力レベルのラッセル初心者さんと比べて、たぶん半分以下の労力でラッセルしています。

夏山やクライミング講習では、僕を追い越す勢いで歩く講習生の方々もおります。
(僕も、たいした体力が無いからですが。)
そんな方も、ラッセルになると先頭に追いつくことすら出来ません。

「2番目というのは、先頭の半分くらいの労力にも関わらず!」です。

そして、今思えば、僕も大学1年生のとき、そうでした。
僕の方が体力があるはずなのに、先輩の後ろすら付いて歩けない!
あれは、なかなか悔しいものですね。
さらにさらに、僕自身も毎年ちょっとずつラッセルが上達していくのを実感しています。
去年より少しだけ速く、少しだけ楽に、なっていくのです。

ラッセルが、単なる体力勝負と思う方も多いでしょうが、実は奥深いのです。

で、これだけ話しておいて何ですが。
僕は、ラッセルは上手く教えられません。

とりあえず、初心者には足場固めやピッケル・ストックの使い方の型を教えれば、僕の半分程度の効率で進むことはできるでしょう。

そこから先は、僕が本質を理解できていないのか、そもそもラッセルが教えづらいものなのか?
初級者には、コツを教えるに困ります。
・ラッセルは、経験した数だけ上手くなる。
・しかも、クライミング同様に、ベテランと初級者じゃあ倍以上も効率が違う。
・さらに、極めることは一生無理そうなくらい奥深い。(少なくとも、僕には・・・)

ポジティブに考えれば、
雪山1年目や2年目で、全く歯が立たなかったような雪深い山。
一見すると、体力不足としか言いようがないような敗退を喫した山。
そんな山も、翌年には登れちゃうことが多い。

もちろん、体力はあるほど良いですけどね。
具体的な講習内容
・ラッセル(股下程度でストックを使うパターン、腰以上でピッケルを使うパターン)
・キックステップ(登り、下り)
・斜登行、斜下降(危険なときは、ターンは山回りを推奨)
・颱風姿勢
・アイゼン歩行(フラットフィッティング、フロントポインティングの意味。ハの字、川の字での登り。フラットフィッティングでの直下降)
・滑落停止練習(実際、訓練する意味は薄いと言われているが、やっぱり雪上訓練の花形演目。雪に慣れる意味でもやっておきましょう。)
・グリセード

「ラッセルは上手く教えられない」とは書きましたが、僕自身のためにもラッセルの本質を掴むように努力したいですね。
そして、いつかは初級者の方々にもコツを教えられるように。