2015年9月15日火曜日

1人で沢旅行

9月12日(土)~14日(月)は、1人で奥只見に沢登り。
長期休みを取ってみたものの、雨続きで2泊3日に縮小。
<只見川本流の渡渉は、怖かった>

沢登りは、その人の登山観が色濃く反映されると思います。

ルート選びや登るラインにも、個性が出ます。
<目的の大白沢へ入渓>

最近は、
「行くルートを決める際には沢登りルート集を開き、興味を持ったらルート集を閉じて、それ以上は読まない。」
というスタイルを中心にやっておりました。
下降に選ぶ沢は、地形図だけで判断してルート集を調べないとか。

今回は、ルート集を全く見ずに計画を立てました。

理由はもちろん、調べまくって難しい沢に行くより、調べないで易しい沢に行く方が楽しいからです。
<下流は、沢幅が広くて、傾斜も緩い>

もちろん、1人で行くからにはリードが必須の滝や、ロープ必須の泳ぎが出てきたら、即敗退です。

そんな頭で地図を開くと、
・下流部は、沢幅が広くて、傾斜も緩そう
・中流部は、中程度の沢幅&傾斜
・下降に選ぶ沢は、比較的水量も少なく、沢幅も傾斜も緩そう

という条件の沢旅計画が、目に飛び込んできました。
<ラインが豊富なミニゴルジュ>

登りは只見川支流の大白沢、下降は同じく只見川支流の松クラ沢(クラは、山カンムリに品という漢字)。

経験上、有名ルートでなくても、水量がほどほどあれば結構面白いものです。
条件から考えても、ロープ1本で、プロテクション類は無しでも、立木を繋げば何とか突破できそうです。

しかも、沢を詰め終わった山頂に、登山道が無いってのもドキドキします。
下界からの隔絶感を感じつつ、隣の沢を降り始めるっていう気持ち。

幸い、先月奥利根周辺で彷徨ったお陰で、この周辺のヤブの濃さ、ブヨの恐ろしさも肌身に染みて、ツメ~稜線の行動計画は立てやすそうです。
<穏やかな下流>

本当は、もう1日か2日増やして、さらなる遡下降を考えていましたが、雨続きで計画縮小。

テレビからは、増水する川のニュースばかりが流れ、気持ちが沈んで行きます。
が、なんとか持ち直して、朝に八王子を出発。

予定より遅れて、昼12時過ぎに入渓。
以下は、時間順に日記っぽく書きます。
<ラインが限られるミニゴルジュは、緊張感あり>

最初の只見川が、予想以上に流れが速く、渡渉に苦労しました。
が、大白沢に入ってしまえば、あとは想定範囲内。

このあたりは、大雨の影響も少なかったようで、順調に進みます。
<穏やか>

途中、ミニゴルジュが出てくると、ライン取りを考えるのが楽しい一時です。

概ね、水流の近くは岩も硬く、綺麗です。
水流から離れると、徐々に藪や土っぽくなり、ときにはブヨなどの虫が飛んでいます。

当然、なるべく綺麗なラインを登りたい訳ですが、難しかったり、水に浸からざるを得ずに寒かったり。
<滝の左にあるクラックが、一番綺麗なライン。だけど、左の岩棚を歩くラインも悪くは無い。ので、そっちを選んだ>

「どこまで水流から離れたら負け」
というルールが存在するのではなく、自己満足の世界です。
(だから、「~~の滝を直登した。」と言っても、どの程度高巻きっぽいのを許容するかが、人によって違います。)

でも、クライミング能力が高いほど、泳ぎが上手いほど、ウェットスーツなどの防寒具がしっかりしているほど、面白いラインが登れるのは確かです。

ちなみに、汚いラインを登って、手や服に泥が付くと
「土が付いた・・・」
っていう気分になります。
なんだか、相撲みたいです。
<焚火>

さて、ちょっと遅くまで頑張って、17時過ぎに行動終了。

今回は、ブヨに悩まされることなく、固形燃料のお陰で焚火も快調です。
1人で暇なテント場生活も、焚火の世話という仕事は、身も心も暖まります。
<おはようございます>

2日目は、中流部となり、沢幅も狭くなってきました。

沢幅が狭いと、突破できるラインが限られるため、荷揚げも頻繁になってきます。

昨日は、高巻くラインもあるけど、あえて楽しいラインを登るという色合い。
それに比べると、高巻くラインが厳しそうです。
易しいゴルジュでも、「突破or敗退?」と緊張します。
<朝7時台から、泳ぐことになろうとは>

中流部を越え、水量は一気に減ります。

お次は、ツメを目指して傾斜が強くなるセクション開始です。
<唯一のスノーブリッジ>

が、ここからは想定より難しめでした。

上流部に10m~20mくらいの滝が、いっぱい。
この辺は、ヤブも厳しくなってくるので、出来れば高巻きたくないのに・・・。
<上流は、水量が減るが、狭くて傾斜も出てくる>

どの滝も、オブザベーションしてみると、落ち口が簡単かどうか確信が持てないものばかり。

「出だしはⅢ級程度で間違いないけど、落ち口がⅢ級かⅣ級か読めないな。荷物背負ってフリーソロで、Ⅳ級はヤバいからなー。」
という雰囲気。

仕方ないので、空身でフリーソロ。
身軽なら、Ⅲ級くらいはクライムダウン敗退できますしね。

ちょっと、面倒でも1つの滝ごとに、ザックを荷揚げします。
結果的には、「半分くらいの滝は、荷揚げして正解!」という難しさでした。
<10m~20mくらいのⅢ級~Ⅲ級+程度の滝が連発>

さて、11時頃から源流の雰囲気。

猛烈なヤブ漕ぎを恐れて、計画よりも少し松クラ山に近い沢を詰めることにします。
<ヤブはギリギリまで避けたい>

この読みが大正解で、13時に稜線トップアウト。

松クラ山と景鶴山のコルです。
どうやら、踏み跡も無いので、景鶴山の山頂往復は割愛します。
<完全武装>

幸い、稜線のヤブは背丈より高いものの、前回より薄めでした。
(雪山で言えば、前回が万歳ラッセル、今回が腰ラッセルの速度)

1時間ほどで、松クラ山とおぼしきピークを通過して、14時に下降開始です。
<遠く、尾瀬が見下ろせる>

下降は、思ったよりは険しく、のっけから懸垂下降です。
霧雨も降って来て、怖くなります。

というのも、明日が最終日で、予備日がありません。
高巻くのも、緩やかな下流部ならともかく、中流部だと難しそうです。

「中流部でロープ1本で降りられない滝が出てきたら、登り返すしかない。そして、登り返した先の稜線にも、エスケープ出来る登山道が無い。」

というのが、緊張感を誘います。
<焚火するも、小雨でツエルトから出られず>

1つ気がかりなのは、天気予報が変わっていないかどうかです。

ラジオを持っていなかったので、稜線で携帯電話をオンにしてみるも、見事に圏外(笑)。
入山前の情報から、「多少降っても、そこまで大荒れにはなるまい。」という勘だけが頼りです。

この日は、幕営中も霧雨で、気分はすっかり萎えております。
<直登不可能な滝が数個出て来て、高巻き&懸垂下降で下降>

とはいえ、3日目は降りるだけ。
短い沢なので、2時間も降りれば高巻き可能なレベルの緩傾斜が待っているはずです。

ちなみに、松クラ沢は登ったら結構難しいかもしれません。
フリーソロでは直登できなそうな滝を懸垂下降して、ロープを引きぬく瞬間、退路を断たれるような緊張感です。

周りのヤブを見渡して、どうにか生きて帰れるラインを見つけ、バックアッププランを用意してはいるのですが。
<唯一、捨縄を残置してしまった7m滝>

ちなみに、登りの沢も、下りの沢も、一切の人工物を見かけませんでした。
残置ハーケン、捨て縄、焚火跡、山仕事の跡、マーキング、石垣などの建造物、など。

あったのは、入下山時に少し通った只見川本流と、白水沢の序盤2時間くらいに釣り用トラロープがチラホラと、稜線に冬用とおぼしき高さ5mくらいのマーキング数か所だけです。

自分も、なるべくこの原始の状態を残したい気持ちはあったのですが、1ヶ所捨て縄を残しました。
あとは、焚火跡は御愛嬌として。
<渋沢は、温泉の雰囲気>

そして、11時に只見川に合流。

さすがの水量にビビりつつ、1回だけ泳ぎ渡渉。
12時に渋沢出合へと。

ここは、登山道もすぐ近くで、実質上のゴールです。
<ただし、渋沢温泉小屋は雪崩にて解体作業中>

色々と反省点はありながら、楽しさと達成感は最高ランク。

下降のリスク判断がギリギリだったことが気がかりながら、会心の山行だったなと満足です。

いやー、沢って色々あって面白いです。
奥只見も、初めて行きましたが、楽しい沢がいっぱいありそうですね。

でも、思い出すと、やっぱり怖いのも沢登りです(笑)。
<新潟と福島の県境なんだと、再確認>

ちなみに、推敲しようとして読み返したら、あまりに情報が羅列的で、初級者を混乱させる内容という気もしました。
自己満足で、申し訳ありません。
<ラストの林道歩き>

行動記録
1日目(晴れ)
12:15 只見川沿いの道路から、入渓
12:30 渡渉を終えて大白沢出合
17:15 クロウ沢に入って幕営

2日目(曇りのち霧雨)
 5:55 起床
 7:15 出発
13:00 松クラ山と景鶴山のコル
14:00 松クラ山(正確なピークは、よく分からず)
16:00 幕営

3日目(霧雨のち曇り)
 6:40 起床
 8:15 出発
11:00 只見川に合流
12:00 渋沢出合
12:45 渋沢温泉小屋(小屋は見えていたが登山道がよく分からず、少し彷徨った)
13:45 登山口に到着
14:00 車に到着