2015年9月24日木曜日

研修登山

9月19日(土)、20日(日)は、研修登山にて、奥多摩の丹波川流域火打石谷。
男性HYさん(沢の講習3回目)、女性ARさん(沢の講習1回目)。
<よく晴れました>

研修登山は、講習の中でも一番楽しみなものです。

特に、沢登りの講習について、それに触れてみましょう。
<入渓>

1つ目に、入山前のメールやり取りからして、段違いの回数だったりします。

沢登りには、様々な装備が必要で、かつ人によって違います。
だから、沢の入門書を読んでも、質問だらけになります。
そこで、山岳部の新人練成のように、コツコツお答えします。

また、ロープは何本にするか、幕営装備はなどと共同装備の分担も、当然不慣れなので、説明しながらメールやり取りです。
<スラブムーヴが試される>

2つ目に、実際の沢登りは、クライミングと水とのアスレチックです。

一般の新人なら、怪我をしないか冷や汗ものです。
我々にとっては、本人がリスクを認知していないというのが、一番心臓に悪い気がしますので。

ただ、マルチピッチリード講習の卒業生が対象なので、大半のリスクは共有できております。
本人が気が付かなかったとしても、指摘すれば理解できることが多いので、だいぶ楽です。
<廊下っぽい>

で、このアスレチックが、実はクライミング的にも面白いのです。

高さ数メートルの滝でも、落ちたら怪我するものもあれば、出だしだけが難しくて落ちても水にドボンという遊び的なものも。

前者は、荷揚げも考慮にいれつつ、慎重に遊びます。

後者は、まるでジムボルダー(笑)。
リーチの無いARさんは、5級くらいの課題を沢山登ったように感じていたそうです。
(実際は、ザックを下ろさずに登ったりしているので、ARさんが落ちて2~4トライ目で登ったにせよ7~8級でしょう。)
こんな山の中で、スポーツ的なトライが出来るなんて、私は楽しくて仕方ない気分になります。

ちなみに、ボルダーは河原などにある大きな岩、というのが元の意味なので、雰囲気も近いものがありますね。
<荷揚げしておいて、フリークライミングを遊んだ小滝>

3つ目に、通常のリスク判断についても、まだ講習することはあります。

今回も、HYさんがなんとなく水を避けて小滝を高巻く場面。
下から見えていた最初のバンドがトラバース出来ず、次のバンドまで上がる。
そのバンドもトラバース出来ず、さらにボロ壁へと登り始める。

見ていて、そのボロ壁は一端登り始めたらクライムダウンもできそうもありません。
しかも、高巻きを始める段階で、そこまで真剣にオブザベーションしていなかったので、その後のライン読みも不安です。

で、そこで私からストップ指示。
慎重にクライムダウン敗退していただき、別のラインから小滝を登ってもらいました。

高巻きは、計画的にお願いします。
<高巻き失敗で、クライムダウン敗退の巻>

4つ目に、ロープを出すような登攀です。

これは、マルチピッチリード講習の成果が試されます。
今回は、トポも読まずに来てもらったので、ライン読みも自分で行います。
登ってみればⅢ~Ⅳ級のレベルでも、情報なしで敗退シナリオを考えながら登るのは、本当に充実します。

ちなみに、今回の沢は10~20mくらの滝でも、残置ハーケンは1本くらいしか無いです。
そもそも、中級以上のバリエーションは、残置頼みの初心者が登れるものではありません。

地道に、カムやハーケンの使い方、敗退を考慮しながら登る練習をして来た成果を、ここで発揮してもらいましょう。
<初日のハイライト>

ちなみに、ロープを出して登っても、滝の落ち口にスムーズに出られるとは限りません。

今回も、落ち口より7mほど上の立木から、懸垂下降で沢に戻りました。
そういった場面でも、応用的なロープワークが出て来て、かなり研修になっていたようです。
<ARさんが突破>

<ARさんはリーチ的に、ボルダームーヴを連発>
5つ目は、泳ぎ。
今回は、希望により水量の少ない沢でしたが、これも勉強になります。

・身体を冷やさないような工夫
・水流のリスク判断
・ロープによる確保、荷揚げなどのバックアッププラン

たまたま、1ヶ所だけ数メートルの泳ぎが出てきたので、これも良い経験でしたね。
<ちょい泳ぎからガバの滝>

<そのまま、セカンドのビレイ>

6つ目は、荷揚げ。

ちょっとした小滝で、安易にA0するのは成長を阻害するのでオススメしません。
その分、荷揚げノウハウを磨く必要があります。

小滝の上が、良い足場なのか、セルフビレイは取れるのか。
シチュエーション毎に正解は違います。

ザックが引っかかることもあり、創意工夫が要求されます。
<足場の悪い高巻きで、荷揚げに困る>

とまぁ、厳しい話ばかりですが、歩くだけでも楽しい景色が広がるのも沢登りの魅力です。

講習には不向きですが、笛吹川の釜の沢なんかは綺麗なので、自分たちで行ってみると楽しいでしょうね。
<ちょっとした7段のナメ階段>

7つ目は、幕営です。

ツエルトの張り方、焚火といった目立つノウハウが、講習生は気になるところ。
ただ、それ以前に、どこを幕営適地と判断するかにも、頭を使います。

平坦なだけではダメで、増水した場合のリスクなんかも考えます。
<生活感あふれる>

そして、なんだかんだ言っても、天気の良い夜に焚火を囲むのは楽しいものです。
<だいぶ乾いた>


さて、2日目。

8つ目に、地図読みも、沢独特のノウハウがあると思います。
尾根の場合は、小ピークやコルから判断しますが、沢の場合は支流の大きさ(水量比)が大事だったりします。

「地形図上、ここの二股は10対1くらいの水量比だけど、広いから気付けそうだね。」
と言った先読みをしていきます。

これまた、かなり苦労していましたが、それだけ経験値が積めたでしょう。
<地形図上のポイントを伝えあって話すのも、一苦労>

<2日目の第1核心へ>

<左壁のクラックにラインを求める。この後、ビレイ点作りで失敗>

ちなみに、ロープを出してクライミングする場合、荷揚げも出来ます。
ただし、ザックが引っかかることも多く、意外とテクニカルです。

今回、全てフォローに回ったHYさん。
「荷揚げには、ちょっと詳しくなりました。」
<フォローで荷揚げ担当のHYさん>

9つ目は、寒さ対策。

雨具をサッと着込むのも、重要です。
結局、私とARさんは、2日目は雨具を上下とも着込みっぱなしでした。

また、大滝登攀では、ビレイ位置も大事です。
1時間もビレイしていたら、低体温症になっちゃいますからね。
<20m級の大滝登攀。2日目のハイライト>

<高巻き気味にラインを求めるARさん>

でもって、ツメも結構難しいです。

どこまで沢を使い、どこから尾根に乗ってしまうのか?

・沢の方が水が汲める
・緩やかな尾根に乗れれば、だいぶ楽
・尾根にヤブがあることも
・急斜面の尾根は、ロープが必要なほど悪いことも

などを勘案して決めます。

これは沢講習の初体験のARさんの意見で、早い段階で緩そうな尾根に乗りました。
今回で、どの程度大変かは経験できたと思いますので、次回以降の判断材料にしてくださいませ。
<ツメも、なかなか大変>

そして、私の読みよりは遅れましたが、15時過ぎにトップアウト。
17時過ぎに下山で、明るいうちに帰れたので、まずまずでしょう。

ただ、あまりにも講習したいことが多すぎて、初心者には難しい沢を選び過ぎてしまいました。

HYさんに対しては、毎年そんな講習をやっている気もしますが(笑)。
お互いに、ヘロヘロになってしまいましたので、次回は少し考えましょう。
<熊倉山へとトップアウト>

また、次回から研修登山の料金を値上げすることにします。
これまで、マルチピッチリード講習と同じ、1日あたり15,000円でしたが、20,000円にいたします。

労力もさることながら、帰宅後の装備洗濯などを考えると、翌日に講習を行うのが相当厳しいので。
という訳で、次回から研修登山の翌日は、なるべく休業といたします。

ちなみに、雪上訓練Lv.3、アルパインリード講習も、20,000円なので、ちょうど同じくらいの大変さかな思います。
<お疲れ様でした>