2019年2月27日水曜日

お膳立てリードは危険登山者を生むか?

2月24日(日)は、クラックリード講習にて、城ヶ崎。
女性Mさん、女性ISさん、男性KYさん。
<このルートも、終了点を考えさせられる>

城ヶ崎は、終了点が立木であることが多いです。
終了点作業に自信が持てない初心者、というのは結構いると思います。

その人に対して、お膳立ての方法は色々あります。
<カムセット練習>

①終了点をあらかじめ設置しておく(立木にスリング+カラビナを掛けておく)

②終了点情報を教える(「ちょうど良い立木があるから、120cmスリング1本あれば足りるよ。」、「ぶっとい立木だから、スリング2本持っていくか、長いのがあると良いよ。」)

③特に何も言わない
もし、イレギュラーな終了点なら、あらかじめ対処方法を教える。
つまり、その初心者が持っている知識・技術で何とかなる範囲だから、「心配せずに行って良し。」と暗黙のサインを送っている。

経験者側がよほど意識しない限り、同行の初心者に対して、少なくとも③はやると思います。
つまり、経験者と一緒に登るということ自体が、お膳立てリードになっているという話です。
ただ、③はお互いに無自覚になりやすいので厄介なのですが・・・。
<楽しげ>

本来であれば、終了点が見えない場合、クライマーは幾つかのケースを想定して、行動する必要があります。

スリングが手持ちで足りなかったら、メインロープでセルフビレイを取る方法を知っているでしょうか?
ロープの流れが悪そうなら、対処する方法はあるでしょうか?
複数支点でないと不安な場合にも、対処できるでしょうか?
終了点に適当な立木がなければ、エイドダウン回収などに切り替えることが出来るでしょうか?
<トポに無いコーナー>

もちろん、最初から全てが出来るなんてことはあり得ません。
終了点に適した位置に立木が見えなければ、怖くて取り付けないということも、初心者的には正しい判断だと思います。

しかし、経験者が一緒だと、何かしらのお膳立ての上で、こういうルートにも取り付くことが出来ます。
これをメリットと捉えるか、デメリットと捉えるか!?
<パープルシャドウは、終了点が分かりやすい>

お膳立てが悪だとまでは、私も思いません。
ときには、それで学ぶこともあると思います。中途半端な自信が付く弊害を考慮したとしても。
そもそも、講習で本気トライをやってみるなんて、お膳立てリードそのものですからね。

ただ、お膳立てに慣れちゃっている人とは、一緒にマルチとかには行きたくないという感覚は私にもあります。
経験上、色々怖いですよね。
<無事にR.P.>

お膳立てリードが善か悪かではなく、お膳立てリードを習慣化してはいけない、という程度の話かもしれません。
怖い時こそ、自分の実力範囲内で考えましょうよ、と。

ただ、ちょっとしたお膳立てって、終了点作業に限らず散見されるものなのですよね。
そして、初心者側はそれが理解しにくく、気づけば甘え慣れている状況にあります。

どちらかと言えば、初心者側よりも経験者側が強く意識すべきことでしょうか。
それとも、初心者側の自制心が大事なんでしょうか。

危険を伴うアウトドアスポーツは、初心者・初級者であっても大真面目に取り組まねばなりません。
<ネッシーは、終了点がバッチリは見えない>

ちょっと重い話ですが、考えるには今回こそが良い機会かもしれません。

実践本気トライ
Mさん:パープルシャドウ(5.8) R.P.
ISさん:ネッシー(5.8) オンサイトトライにて、ハングドッグしてトップアウト
KYさん:名前の無いコーナー(体感5.8) O.S.
<この6番が怪しい>

さてさて、今回でMさん、ISさんはクラックリード講習を卒業といたしました。
学ぶことは多いですから、復習参加も是非来てくださいませ。
<やはり>

<隣でフラッシュダンスを登る様子>