2012年5月15日火曜日

クライミング観のコペルニクス的転回?

5月12日(土)、13日(日)は、三ッ峠にてマルチピッチ体験講習。
女性SZさん、MDさんの2名。
SZさん、最近クライミングのモチベーションが上がらない様子。

昨年夏に小川山でリード講習を受けて以降、ときどき岩場には山岳会仲間と行っているとのことですが、

・これといって成長が感じられない
・易しいルートを登れても達成感が少なく、むしろ難しいルートを登れなくて虚しく帰ってくることが多い
・山歩きの方が、歩くし、景色も良いし、達成感もあって良い

などど感じるそうです。
その一方で、

・山でちょっとしたロープを出す場面で、ちゃんと出来るようになりたい
・クライミングはスポーツだから、登れたら(成長したら)楽しいんだろうな、とは思う

なんて感じで、岩場やジムが義務っぽくなってきたところでした。

ある意味では、「今回のマルチピッチも楽しくなかったら、クライミング辞めようか」という考えもあっての参加。
マルチピッチは、その名もリードを繰り返して大きな岩場をクリアしていく登り方です。

後続(フォロー)の2人はトップロープ状態なので、ある程度は安心感を持って、マルチピッチを体験することが出来ます。
まずは、岩場の取り付きで、ジャミング、スリングの携行方法、全体的な流れ(コールなど)、なんかを説明。

2時間くらいミッチリ練習して、さあ出発です!
まだまだ緊張気味。
リード1回分(1ピッチ)進んだだけでも、息はゼエゼエ、もう帰りたいくらいにお疲れです。
が、休憩毎に水を飲み、ゆっくりと高度を稼いで来たあたりから乗ってきました!

他パーティーを、順番待ちする間に撮った写真がコレ。
本日は、富士山も見えたり。
高度を上げていくごとに、展望も最高です。
そして、トップアウトした広場では、2人とも気分は上々。

SZさん
「これは面白いっすねぇ。これのためにクライミング頑張っても良いですね。」
と、盛んに言い始めておりました。
しかも、これはまだ初日の話。

2日目が終わる頃には、
「スポーツクライミングと比べて、チマチマしてなくてザックリしてて楽しい」
「クラック、有効ですね」
「ストーンマジックに行って、例のクラック練習したいな」
「クラック講習、魅力的ですね」

などなどの発言が。

しかも、自分がそれ以前には「高いところは怖いから」、「クラックはちょっと・・・」とか言っていたことを、ほとんどスッカリ忘れて発言しているところが、笑いを誘います。
もちろん、今回の受講を企画したMDさんは、半ば狙い通りとほくそ笑んでおりました。
具体的な講習内容
<初日>
・テーピングの仕方
・ハンドジャム、フットジャム
・アルパインクイックドローの作り方
・ギアラックの整理方法
・カムの回収方法
・コールの流れ(コール無しの流れ)


☆実践マルチピッチ1回目(4時間くらい)

・ロープの畳み方(普通の畳み方、背負う方法)
・インクノット(クローブヒッチ)によるセルフビレイの取り方
・半マスト(イタリアンヒッチ)
・カムのセット方法(とりあえず、取り付き周辺で練習)

<2日目>
☆実践マルチピッチ2回目(2時間くらい)

・ダブルロープの利点
・サブザックの処理(ビレイポイントに下げて楽にする、チムニーで腰から下げる)
・フィストジャム

☆実践マルチピッチ3回目(2ピッチまでで時間切れ)

・回収手順のコツ
・カム回収がしにくい場合
・少し難しいピッチにトライ(Ⅳ級+くらい)
・懸垂下降の実践
・カウテールの作り方
あまりにも盛りだくさんなので、どんなにメモを取っても全てを覚えるのは無理でしょうね。
本日は出来ていても、1週間もたったら忘れていきます。

ただ、クライミング観が大きく変化したのは、体験講習としては最大の成果だったでしょう。

スポーツ的なクライミングに馴染めない山屋さん、SZさんに限らず、実はものすごく多いと思います。