2013年8月20日火曜日

立木の利用

8月16日(金)は、小川山にてマルチピッチリード講習。
ボルダラーで、波乗りで、バックカントリースキーヤーの女性KSさん。

ルートは、大貧民。
ビレイ点を作る際、立木はよく使います。

講習してみて、

「えっ!?そんな細いヤツで?」
「えっ!?根っこごと折れそうじゃないですか?」

ってのを、講習生が使うことが多いってことに気が付きました。

今更感もある、基本中の基本ですが、私なりの考えを。

<地上にて、ビレイ点作りの講習>
まず、太さ。

客観的に見るって、案外難しい。

最近オススメしているのは、スリングの長さで測る方法。

①120cmスリングで、丁度良いくらいの太さ
→充分に太い。根元に巻かなくても良いくらい。

②60cmスリングで、ギリギリ回るくらい。
→充分に太い。でも、一応は根元に近いあたりに巻いておく。

③60cmスリングで、余裕で回る。
→ギリギリの根本で巻きたい。(木は折れなくても、テコの力で根本が倒れる)

④太もも、腕ぐらいの太さ。
→雪国なら、しなって粘る木もあるから大丈夫だったりする。でも、不安は残る。最終的には、リスクの大きさとの兼ね合いで。

<1P目。ちょっとランナウト癖があるのが、気にかかる。>
次に、木そのものが生きているか?

私も、初心者の頃。
根本の太さばかりに目が行って、ビレイしている最中に・・・

「あっ!?この木、枯れてるじゃん!」

と、気づいたことも何度かありました。

<2P目。カムセットの基準が、ちょっと緩いかな。>
あとは、木が生えている場所!

当然ながら、テラスに僅かばかり乗った土に生えている木は、土ごと倒れる可能性があります。

経験者なら、クライミングエリアの立木は、そんなの日常茶飯事だとは御存知でしょう。

でも、初心者の場合、どうも見落としがちなポイントみたいです。

<休憩中>
最後に!

こういうのを、体感的に理解する方法があります。

それは、木を揺らしてみること。

当たり前過ぎるんですが、これで頭でなく、体で覚えられるようです。
できれば・・・

「スリングを巻く予定の高さより、“少し上”を強く揺すってみて、その揺れ具合でリスクを体感すること」

ってのが、良いと思うんですよ。

<カムでのビレイ点を早速実践>
実際に、高めの位置を揺らして

「え?グラグラじゃん!」
→「これ、やめとこ」

「結構揺れるなぁ」
→「根本に巻いときゃ、何とか大丈夫かな」

「ほとんど揺れもしない」
→「これで、根本に巻いときゃ完璧に御安心なビレイだ。良かったー。」

ってな感じです。

<恐ろしい最終ピッチ。思い切りが良すぎるムーヴだったので、気を付けて。>
最近は、講習生が、立木にスリングを掛けるか迷っていたら、

「揺すってみて下さい。(どのくらい信用できるか、体感してみてください。)」

と言うことにしました。

レッツ体感です。

<完登!スピードは、講習生の中でも最速>
具体的な講習内容
・カムなどの複数支点を使ったビレイ点の作り方
・ピナクルを使ったビレイ点の作り方
・大貧民ルートを、オールリードにて完登

<お殿様の真の頂上は、ボルトが1本しか無い。全ネジの新しいボルトなのが救い。>
登り自体は、かなりハイレベルなKSさん。

でも、安全面に関しては、まだまだ課題が多そうです。