2019年6月10日月曜日

本日のトラブルを振り返る

6月6日(木)は、マルチピッチリード講習にて、三ツ峠。
女性IUさん、復習参加の女性KIさん。
ロープの流れに気を付ける、というのは案外難しいことです。

ロープの屈曲点、岩への擦れ、クラックや溝からロープを出すか否か、といった諸注意がありますが、ある程度の失敗経験がないと理解も出来ないでしょう。
(この手の図解は、過去にも何度かやったので、今回はパス。)
さて、リード中に「流れが重くなって来たな。」と思ったら、どうすべきでしょうか?

あるいは、「どこか1箇所で完全にスタックしたのか、積もり積もって流れが重くなりすぎたのか、どちらかは不明ながらロープが引き上げられない。」となったら、どうすべきでしょうか?
<1P目>

もちろん、そのときの状況によって、ベストアンサーも変わってくると思います。
参考までに、今回のトラブルを挙げてみます。

①状況

リード終了後、テラスの奥まったところでビレイ点を作成。ここまでは、ロープがなんとか引けた。
しかし、これ以上は引き上げ不可能。ダブルロープのうち、1本は引き上げ可能、1本がスタックなのか重いのか、本人には判別できない。

リードしたピッチは易しく、全セクションでクライムダウン可能なレベル。
<上部を直上ラインではなく、右の凹角へとトラバースした。ロープが引っ掛かり中。>

②本人の対応
一旦、テラスの端まで戻ってみると、ここならロープは引き上げ可能。しかし、そこにビレイ点を作れそうな支点は無い。

スタックを直すべきか迷った結果、ビレイ点を使って懸垂下降しようと、色々とロープワークを試行錯誤。
<ロープは、このように流した方が、無難>

③フォローの対応
1名は、ロープが引かれる状況なので、おそらくビレイされているであろう。
1名(石田)は、ロープが引かれない。おそらく、ロープの流れでミスをしたのだろうと判断。

ビレイされている側だけが先に登って、流れが悪い個所を解消してもらうという選択肢もあった。
ただ、易しいセクションだったので、石田がロープが引かれないのを承知で、ほぼ無確保状態でフォローすることに決定。
③その他の状況
・ロープは40m以上出ており、お互いの姿は20mくらいから全く見えず、声も届かない。

④その他の選択肢
・フォローは、フィックスロープの登行として登る選択肢がある。
・リードは、途中で重くなってきた気配が濃厚なら、クライムダウンして流れ修正、早めにピッチを切る、などの選択肢がある。
・今回も試行錯誤している最中だったが、リードが懸垂下降で戻り、ロープの流れを修正し、ビレイ点に登り返す選択肢もある。
・セルフビレイやビレイポイントをメインロープでテラスの端っこまで延長する、という選択肢もある。
<2P目>

ある程度の経験がないと、「何のこっちゃ」という状況描写だろうとは思います・・・。
ただ、IUさんはこれで相当にロープの流れを意識するようになると思います。
余談ですが。

IUさんは、ボルトで整備されたスポートルート的なマルチも何本か登ったことがあります。
そこでは、設定者がボルトを打つ際にロープの流れを考慮しているため、それほど深く考えなくても、ロープがスタックしなかったそうです。

しかし、残置無視でオールNPで登った場合、そういったお膳立てがなくなり、考えが浅い人はキッチリとスタックします。
そういう意味でも「登らされているんだなー。」と実感したそうです。
さて、色々な意味で自立した登山者・クライマーを目指して行きましょう!

<色々あった、最終テラス>