2021年6月14日月曜日

理想のギブアップ、もう一度考える

5月15日(土)は、クラックリード講習にて、女性STさん、復習参加の女性IUさん。
5月18日(火)は、リード1回目にて、女性KBさん、女性YGさん。2コマ目は、ムーヴLv.0にて、男性MBさん、KIさん夫妻、男性YMさん。
5月19日(水)は、リード1回目にて、男性HDさん。
5月21日(金)は、リード2回目にて、女性KBさん、女性YGさん、男性HDさん。
5月22日(土)は、リード1回目、2回目にて、男性KNさん、女性DGさん、女性HNさん。
5月23日(日)は、リード2回目、3回目にて、前日のメンバーに加えて、女性TYさん。

ジムで、強い男性の常連さんが、女性と一緒にリードしていました。
女性が、ルート後半(5クリップ以上は、行ったぐらい)で次のクリップができずに「落ちます。」コールで何度かフォールしておりました。
すると、ビレイしていた男性が、「怖かったら、ムーヴ中に他のガバとか掴んでクリップして良いよ。」と指示。
しかし、彼らは考えを改めて、そうしないことを選択しました。

まず、状況を整理します。
・クリップできずにフォールしているが、手繰り落ちではない。
・「落ちます。」コールでフォールできているため、恐怖でパニックに陥っている訳ではない。
・とはいえ、リードで落ちるのは誰でも怖いので、怖くないと言えば嘘にはなる。

つまり、安全圏の範囲でクリップ態勢を探り、諦めてフォールするという、クライマーとして至極まっとうな安全管理ができている状態です。
それを、わざわざ崩すような癖を付けなくても良いと思った次第です。

さて、リード中のギブアップ方法を4つ上げます。

①「落ちます。」コール、何も言わずに落ちる。
→自分が安全圏内であれば、問題なし。メリットは、墜落距離の予測との検証ができること。嫌々ながらも、落ちる練習になり、受け身の姿勢を意識する。これを繰り返すことで、怖がりのクライマーも徐々にジムで頑張れるようになる。
結構オススメ。

②「テンション。」コール。
→トップロープ状態、もしくは僅かなリードであれば、問題なし。ただし、こればかりだと“落ちないことが常態化し、頑張れないクライマーになる”という懸念はある。
気をつけて使うべし。

③他のホールド(スタンスも含めて)を使用。
→ジム限定で使用可能。デメリットは、自分が安全圏にいるのか判別しなくなる悪癖が付く人がいる。また、諦めかけた心の隙に、ルート外のホールドが目に入る悪癖が付くこともある。前者は安全管理に弱いクライマーを育て、後者は頑張れないクライマーを育てる。
メリットは、瞬間的に安心が得られること。他には、ついでにチョンボクリップができることだが、これが本人の成長にとってメリットかどうかは微妙な問題。ハングドッグの効率、リード技術のベースアップ、のどちらを優先するか。
基本はオススメできないが、そのムーヴを割愛して先を探る時などは有効。

ちなみに、岩場のボルダーで隣の立木に逃げるというパターンがある。これは、往々にして着地が危険な課題が多いため、落ちるというギブアップ方法が断たれているケースが多い。これはこれで、仕方ないと思う。

④ヌンチャクを掴む。(A0)
→ガバが多い、まぶし壁のランナウトでは、メリットは無いようだ。カラビナに指を入れてしまうリスクが上回る。岩場では止むを得ない場面もあると思う。(仕方ない場面と、ジムでの③同様にオススメしがたい場面を書き出すと、長くなりそうなので割愛。)

理想のトライは、ジムなら落ちるまで頑張ることでしょう。
ギブアップは、原則は手繰り落ちしそうな場面だけ。
クリップは、基本は「どのムーヴで落ちても大丈夫なように。」という感じのシンプルなものです。

しかし、分かっちゃいるけど未だ至らないという初級者は、まずギブアップから修正してみた方が良いのでは?という提案です。
岩場では、絶対落ちたらダメな場面でのクライムダウン敗退という話も出てくるので、もう少し複雑です、