2021年12月17日金曜日

限定ルート、ルート近接問題との付き合い方

11月19日(金)は、自分のクライミングにて、神戸の岩場。
Y田さんと。
都市近郊型の小さな岩場に多い、限定ルート、ルート近接問題。

限定ルートが嫌いという人は、結構多いと思います。 
「自然なラインを登りたいよね。」
「限定して5.11aなら、限定なしで5.10cの方が良いルートだったのにね。」
「誰かに登らされている感じがしてムカつく。」
などなど、様々な感想があると思います。

※「隣の岩は無し」など、ある程度は自然なルールとして受け入れやすい限定もあるので、限定のサジ加減にもグラデーションのような濃淡はあります。また、開拓者は限定していないのに、ローカルクライマーが限定を後付けしてしまい、それがネット上で主流派のように語られる事例もあります。さらに、初登後に岩の形状が変化して、今となってはボルトラインから2mぐらい横を登った方が、岩の弱点となる場合もあります。「限定=開拓者が悪い」というのは、言い過ぎなので注意です。

また、隣のルートと近すぎるのが嫌いという人も、結構多いと思います。
「それ使っちゃったら隣のルートになる。」とか言われることもありますし、実際に言われなくても、自分自身で「どこまで使うのはアリなんだろう・・・。」と悩みながら登るのは、ストレスがあります。
それゆえ、クラックの明確なラインに惹かれるクライマー、隣のルートとの間隔が広い海外のボルトルートに感動して帰ってくるクライマー、といった人も多いのでしょう。

しかしながら、限定を積極的に破って“自分が好きなように”登る人というのも、少数派です。
(僕自身その少数派に属しているので、限定は破ることが多いです。2ラインが近い場合は、「2つのボルトルートどちらにクリップして登っても良い。」、つまり「1ラインしか無いと仮定してオンサイトトライする。」という遊び方にしています。もちろん、余興的な感じで限定ラインを遊ぶことはしますが。)

さて、限定ルートが嫌いだが、限定を積極的に破れない人の心理を考えてみます。

①負けた気がする。
極端に言えば、ジムのルートで、別のホールドを使って登ってしまうと、ルートの意味が無くなります。それに近い感覚。

②名前のあるルート、正式に(?)グレーディングされたルート、こそを登りたい。
限定を破ったり、自分が好きなように登った場合、友人に「○○を登ったよ!」と報告できない恐れがあります・・・。また、「ちゃんと登れば良いのに・・・」と残念な人扱いされる恐れすらあります・・・。

③開拓者への礼を払いたい。
例えばボルトルートでは、開拓者の意図に反する登り方をしては失礼な気がします。
まして、限定ルートを非難して、開拓者に嫌な気持ちをさせてしまわないか不安にもなります。
ただ、実際に開拓者の人と話をする機会があったりすると、「自分が好きなように登れば良いよ。」と言っていただけるケースが多い印象です。
※「当然ナシでしょ!」と言っている開拓者も居ます。

④自分でラインを見出して登る自信が無い。
ブーブーと文句は言いつつも、自分の岩を見る目や、それに伴う自己責任には自信が無い。
(初級者の場合、ある程度は仕方ない部分も・・・)

①〜③は、私自身にもある心情です。
④は、岩場クライマーとしてはダサい感じもします。ただ、ジムとボルトルート専門の人などは、岩そのものを登る感覚は薄く、提供された課題を登っている感覚なので仕方ないかもしれません。

個人的な印象ですが、ブログ、facebook、インスタ、などの影響で、②の心理は強化される傾向があるように思います。
見知らぬ人に、「それは登ったことにならない。」とか思われるのも嫌ですしね。

具体的に登ったルート(全てボルト)
・アルマジロ(5.9) 再登
・ガバ丸(5.10a) 再登
・ウィリー左(5.10b/c) 再登
・長谷川ルート(5.11d)、御開帳(5.12a)、という2ラインを1ラインと見なして O.S.(体感5.11c) このルールなら、限定感はだいぶ薄れるので、そういう考え方の人には良いかも。
・ウィリー右(5.11b) 1回ハングドッグしてムーヴ解決。次の便で、R.P.。ボルダーの練習、っていう感じ。(通算2日間)
・バブルス下部バリエイション(5.11c) ボルト自体にはクリップして登れたが、ボルトが指示するラインからは外れている感覚があり、モヤモヤが残る感じ。バブルスに合流してから先は、2度登ったことがあった。

瑞牆、二子山、城ヶ崎あたりのビッグエリア、あるいはクラックなら、こういうモヤモヤは、そもそも起こりにくいんですけどね。
とは言え、近郊岩場には今後も行きますし、講習でも使い続けますので、この問題とは一生付き合っていくことになりそうです。