2013年5月27日月曜日

初心者でも、壁にラインを描く

5月23日(木)は、越沢バットレスにてマルチピッチリード講習。
先日、卒業とあいなった男性ONさんが補習的に。
マルチピッチリードは初の、女性KSさん。

<2人で相談して、本日のラインを決める>
講習は、残置無視、トポを見ない、という
「初登攀の気分で」

というスタイルで、行います。

<近付いてみて、再検討>
何度か触れて来ましたが、歴史的な経緯として・・・

①初登攀の頃は、当然ながら残置は無かった

②その後、ハーケンなどの残置が増えてしまい、入門ルートは
「残置にクリップするだけ」
で登れてしまう時代が来た

※もちろん、その中でも上級者は、新ルート開拓などを進めていたので、残置無しでも登る力はあったのだろうけど。

<果たして、クラックはあるのか?ホールドは繋がっているのか?>
③既成のルートも「初登攀の気分で登る」というスタイルが、中上級者の間では一般的になってきた

※カム類などが一般的になったこと、アルパイン初心者でフリークライミングをきっちり並行する人が増えたこと。

“残置無視”なんていう、センセーショナルな言葉が誌面を賑わしたのは最近のようですが、昔からあった思想だという話。

<高度感たっぷり>
で、今現在。

中級以上のルートは、残置が非常に少ない。
入門ルートは、昔ながらの残置祭り。

だから、今だって残置にクリップすれば、入門ルートくらいは登れますよ。

<自分の決めたカムで、ハンギングビレイ>
でも、それじゃあ、何のためにアルパイン目指そうと思ったんですか?
何のために、登山道から飛び出して、バリエーション登ろうと思ったんですか?

どうせリードを目指すんなら、全部自分で登っちゃってください!

<この先、どうなっているんだろう・・・>
もちろん、初心者のうちから、このスタイルを教えるのは労力も要ります。

ただでさえ、ロープワークも不慣れで時間が掛かるのに、ルートファインディングやカムセットに要する時間は膨大!

三ツ峠で講習しても、初回は6時間くらいでトップアウト。
今回、越沢で登っても4時間近くでトップアウト。

“残置クリップ”のスタイルで登っている方々の、2倍3倍の時間を要します。

<遠目に見て、核心と予想していた箇所は?>
でも、最初からこのスタイルでやるメリットも大きい。

・入門ルートから、中級以上のルートにステップアップするときの、意識改革が必要なくなる
(中級以上では、残置も少ないので、自然とこの作業をやる必要がある)

・初期の頃からルートファインディングや支点作りをした方が、安全意識の高いクライマーが育つ

<下降は慎重に>
で、何より楽しいんですよ。

本当に、自分で登っている感があって。

<KSさんのリード練習>
私のモチベーションとしては、講習生一人一人に上手くなって欲しい、という気持ちは勿論。

それ以外にも、
「初心者でも、残置無視、トポ無視は出来る!」

ということを、講習生の成長を通して、たくさん実証していきたいという気持ちもありますね。

<登竜門的な、Ⅲ級クラック>
具体的なルート
・1本目
ONさんリード(3ピッチ)
越沢バットレスに、残置無視、オンサイトで描くラインとしては、これ以上ない美しさでしょう。
ONさん命名は、「スカイステップ」?

どういうラインかは、他の講習生も見ているので、内緒です。

・3級クラック
KSさん、オンサイトリードの練習。
リード自体はスムーズでも、引き上げ作業で四苦八苦。

<口出したい気持ちを、グっと堪えるONさん>