2018年11月29日木曜日

1本目は、第一関門

11月23日(金、祝)は、岩場リード講習にて、湯河原。
男性STさん、男性FTGさん、女性ADさん。
「リードする際に、1本目まで行けないぐらいだったら、そのルートはトライする資格が無い。」
という考え方があります。
おおむね、ボルトはそのルートをトライするであろう実力者が落ちる可能性が高い箇所に打ってあるものです。

したがって、下部が易しければ1本目は高くなります。
反対に、下部が難しく、かと言ってボルダーとして捉えるには下地が悪くて着地が困難、というときは1本目が低くなります。
という訳で、再登者である我々としては、1本目までを足切り試験として捉えるという結果になります。

この考え方は、課題を乗り越えて行くクライマーの気持ちにピッタリと合う上、自分にとっての適正難易度のルートを選ぶ基準としても重宝します。
一方で、ちょっと考えただけでも3つは問題点があります。

1つ目は、ついついボルト位置に文句を言いたくなること。ときどき「もうちょっと右下にあれば、万事うまく行くのに。」なんて気持ちにはなってしまいます。

2つ目は、グランドアップのルートなど、ボルト位置設定の理由が、少し異なるケースも散見されます。下部が脆くてプリクリ前提、というルートもあります。
(グランドアップのルートは、多少怖くても冒険性を重んじた結果です。)

3つ目は、現代クライマーの我々は、安定したムーヴ能力に比べて、安全な環境での突破能力が高いらしいので、むしろ第一関門こそが核心になることもあります。
昔のクライマーは、おおむね高い水準の山屋だったそうなので、落ちない登りも上手かったことでしょうて。
と、ここまで分かった上で、この考え方を採用するかどうかは自分次第という話でしょうか。

ちなみに、講習ではこの考え方で本気トライは行います。
なので、1本目に辿り着けない場合は、敗退してもオーケー。正当な安全管理とみなしています。
クラックとかマルチまでやるなら、現代クライマーの強みと、昔のクライマーの良いところを、ある程度意識して登った方が良いと思うんですよね。
<マゾおけさ>

実践本気トライ
ADさん:アブラカダブラ(5.10a) 再登
マゾおけさ(5.10b) クライムダウン敗退にて、一撃権を残す

FTGさん:アブラカダブラ(5.10a) 再登
マゾおけさ(5.10b) ハングドッグして、最終セクションが抜けられず敗退

STさん:アブラカダブラ(5.10a) フラッシュ。ただ、本人の中では反省点があり、いずれ復習トライしたい様子。