2019年2月3日日曜日

自分なりの限定

2月2日(土)は、クラックリード講習にて、城ヶ崎。
復習参加の男性ITさんのみ。

そこで、実質的にはクラックムーヴ講習となったので、エリアを変えて「しりいだし」。
自分にとって簡単なルートは、「登っても意味がない(練習にならない)」と言う意見があります。
ITさんは、クラックの5.9ぐらいが一撃で五分五分という印象なので、5.4~5.7ぐらいだと緊張感なく雑に登ってしまいがちという印象があります。
(5.8、得意系5.9ぐらいは、ちょうど頑張って一撃している印象です。)

実際、何も考えずに登ると、ルーチンワークのようになってしまう人も居ます。
試行錯誤がないと、伸びませんからね。

いくつか、テーマの例を挙げてみましょう。

ムーヴ技術
①足音を立てないなど、足置きに着目。
②常にレスト態勢で登るなど、完璧な安定感に着目。
③より良いフォームとは何かに着目
④感覚的ですが「6級以上の強度のムーヴ禁止」など、省エネムーヴだけでの完登を目指す。
⑤スタティック限定(デッド禁止)。

プロテクション技術
①自己採点100点のカムだけ。
②1セットしばり。(同じサイズのカムを2つ持つのを禁止。イメージは、マルチピッチで、ビレイ点用のカムのことも考える場面など。)

クラック縛り
①ジャミング限定。(レイバック禁止など)
②クラック脇のホールド禁止。
③クラックの隣のフェースを登り、プロテクションだけをクラックから取る、という登り方のみ禁止。(①、②よりは、少し緩いルール)

講習生を見ていると、どうしても最後のクラック縛りに興味が向くようです。
クラックリードを卒業しているITさんも例外ではなく、むしろクラック縛り大好きという風に見えます。

さて、本日の顛末を振り返ってみましょう。
トポとして、魅惑のトラッドを使用しています。
<中潮クラック(5.7)>

1本目、中潮クラック。
写真の通り、ダブルクラックというか、凹角というか、という形状です。

「(左の)クラック限定とかにしないと、つまんないですね。」
という感想。
実際には、右壁も使ってO.S.。
<回収の都合上、リード&フォローで登った>

<はったりクラック(5.7)>

2本目、はったりクラック。

「実際は、ジャミングせざるを得ない場所が少ないですね。」
とO.S.。
<はったりクラックの左にあるチムニー>

3本目は、トポに無いチムニー。

手前を登るとホールドが豊富だったので、奥までトンネル通過のように進むラインを選択。
その際、チムニーの最下段が地面となっていたので、そこに降りるのは禁止という自分ルールAを選択。
さらに、プッシュしたりニーロックしたりする際も、極力明確なスタンスは避けるという自分ルールBを選択。

結果は、O.S.。
自分ルールAは完遂、自分ルールBはそもそもが「極力使わない」という設定なので良く分からず。
<ミーちゃんチムニー(5.8)>

4本目は、ミーちゃんチムニー。

「これも、クラック脇のホールドが出て来ちゃうからねー。」
と、言いながら結局使用して、O.S.。
<はったりクラック左の細いクラック>

5本目は、トポに無い細いクラック。

「左に出ちゃあ、何の意味もないでしょう。」
とクラック縛りに拘り、O.S.。

私は、左フェースを使いながら、プロテクションだけクラックを使うセクションも交えて登りました。
<入り口にある、5番サイズのO.W.(5.9くらい?)>

6本目は、トポに無い5番サイズのO.W.。

これは、クラック脇にホールドが少なく、真っ向勝負テイストの強いライン。

「全然イメージが沸かない。嫌なサイズ。すごく嫌な感じ。」
と言いつつ、何回かクライムダウンを繰り返し、どうにかO.S.。

その後、ムーヴ洗練のために、トップロープで少し練習。
<きょうりゅうクラック(5.9)>

7本目、きょうりゅうクラック。

オンサイト失敗して、ハングドッグ中。

「左フェースのチョーク付いているホールドは?」
と私が尋ねると、
「いやー、これ使っちゃったらクラックじゃぁないからなぁ。」
と渋々。

しかし、ムーヴが出来ないので、クラック縛り解除。

そのホールドが、クラックから完全に離れられるほどの代物ではなく、クラック登りの補助に使える程度のものだと判明。
結局、そのホールドを使っても突破できず、エイドダウン敗退。
<きょうりゅうクラックの左(5.9くらい?)>

8本目、トポに載っていない左脇のクラック。

最後のラインで、クラック直上を試みるも、
「怖くてダメだ。右に逃げます。」
と言って、きょうりゅうクラックへと合流。
(左右1m間隔のダブルクラックみたいになっています。)

本人的には納得したのかどうか分かりませんが、記録的にはO.S.。

最後に、きょうりゅうクラックを再トライして、ハングドッグしてムーヴ解決。
今度は、チョークの付いたホールドは最初から使います。
それでも、ギリギリ解決でした。


さてさて、どうなんでしょうか?
話を戻せば、「いかにルーチンワークを脱するか?」というテーマでした。

クラック縛りが練習になるときもあります。今回で言えば、チムニーに関してのルールAは、練習効果が出たように見えました。

一方で、自分なりの限定というのはルールが曖昧になりがちで、達成できたかどうかも曖昧になりがちという弱点もあります。
(その点、1セット縛りは途中で増やせないからルールは明確ですが。)

きょうりゅうクラックみたいに、縛って登れず、縛り解除してみたけど登れず、なんていうことも起こっちゃったりします。
ビレイヤーからすると、なんだか変に見えます。

「こんな面倒なこと考えるぐらいなら、本気オンサイトと本気レッドポイントだけ頑張ってた方が分かりやすい。」
という人が出るのも分かります。
これは、ルールが明確。試合みたいなものですからね。
きょうりゅうクラックの2トライ目のハングドッグは、その点ではルールが明確でした。

参考事例だけで、結論の無い話です。
メリットデメリットで、自分で選ぶしかないんでしょうね。