9月17日(土)は、奥多摩の越沢バットレスにてマルチピッチ体験講習。
先週から引き続き、都岳連の1年コース卒業のARさん、FYさんの女性2人組。
マルチピッチというのは、文字通り複数のピッチを登るクライミングです。
クライミングでいうところのピッチは、ロープで1回リードする長さにあたります。
対極にある、スポーツクライミングは、1ピッチの長さで難易度やムーブの面白さを追求します。
20~30mくらいの壁が一般的でしょうか。
それに対して、マルチピッチでは大きな壁を登ること自体が目的。
というか、マルチピッチという用語、本来は分野の名前でありません。
元々は“大きな壁などを登る”ときの手段です。
(ちなみに、越沢バットレスは70mの壁で、マルチピッチの練習場として有名)
さて、この手のクライミングを自力で登れるその日まで、長い道のりがあることは先週説明しました。
ただ、今回のように連れて行ってもらいながら、「ロープワークの基本的な流れ」、「将来的に覚えるべきこと」を把握する体験というのも魅力的です。
私はお客様に、「スポートルート、クラック、そして最後にマルチピッチのリード」と順番に覚えるのがオススメだと紹介します。
その理由は、その順番が覚えやすく、覚えたてでも岩場に行きやすいからです。
実はもう一つ、クラックをやる中で“自力で登る達成感”を強烈に意識し、それからマルチピッチを始めると面白いだろう、という理由もあります。
今、サラっと5行くらいで書いた内容ですが、初心者がこの意味を想像するのはほとんどムリです。
僕も、あまり深く聞かれても説明に窮してしまいます。
そういう意味でも、やっぱりマルチピッチ体験は有効ですね。
お2人は、都岳連でのマルチピッチ初体験は、本人には強烈過ぎて記憶すらアヤフヤ(笑)。
しかし、2回目の今回は、「楽しい!」と繰り返しながら登ることが出来ました。
そして、僕が行うロープワークを眺めながら登る余裕も出てきました。
体験講習のもう一つの魅力は、単純な楽しさですね。
登山のためにクライミングを始めたはずなのに、いつまで経ってもアルパインクライミングに辿り着かず、モチベーションダウンした初心者も多いはず。
やっぱり、「クライミングやってて役に立った!」と思う場面は、必要だと思います。
具体的な講習内容
1ピッチのⅢ級凹角を繰り返し登る中で、基本を説明
・スリングの収納方法(ネジネジ、タスキ掛け、など)
・アルパインクイックドローの作り方
・カウテールの作り方
・ギアラックの整理の仕方(前列にヌンチャク、など)
・カムの回収方法
・コール無しの登り方、コール無しの懸垂下降
・ルベルソを使ったセカンド確保の流れ(説明程度)
・懸垂下降のロープ結束
実践
・第2スラブルート(Ⅳ+、3ピッチ)のルートを登攀
質問に応じて
・インクノットの効率的な結び方
・ロープの畳み方(背負う方法)
お客様にとって、衝撃的なレベルで楽しかったようで、「今後もマルチピッチ体験を交えながら講習して欲しい」という流れになりました。
「次回は、スポートルートのリード講習、マルチピッチ体験が両方できる小川山!」という話です。