2011年9月12日月曜日

マルチピッチリードを覚えるまでの期間は?

9月11日(日)は、奥多摩の天王岩にて岩場講習。
今回は、都岳連の年間講習を終えている女性2人。(AKさん、FYさん)

今回、お客様からの最大の質問は「どのくらいでマルチピッチのリードが出来るようになりますか?」

これは、よく聞かれる質問です。
そして、案外困ります。
講習生を見ている感じだと、短くても1年以上、長くて3~5年でしょうか?
大学山岳部のバリバリのモチベーションでも、やっぱり1年以上は掛かることが多いでしょうね。

困る要素としては
・時間というよりも、経験量(岩場での実践)と練習量(ロープワーク&ジムクライミング)が決定的
毎週のように岩場に行けば、1年以内も夢ではありませんが、月1回を下回るようだと、一生ムリかもしれません。

・マルチピッチにも、小川山のフリーマルチ(一般に、ムーブは難しいが、低山でゲレンデ的)、穂高や剱岳の岩稜(一般に、ムーブは易しいが、アルパイン的な要素がある)があります。
前者は、フリーを頑張れば、数カ月で出来るようになる人もいるでしょう。
後者は、フリーは5.10台でも構いませんが、ちゃんとした判断が出来るようになるには、誰でも経験値が必要です。

・ロープワーク、フリークライミング、判断力、全てにおいて覚えが良い人と不得意な人がおります。
体力の程度も、ゲレンデの講習では僕から判断出来ません。
それら全てと、モチベーションを聞いて初めて、その人の成長スピードを予想します。
が、その予想自体が難しいのでアテにはなりません。

初心者の多くは、ロープワークさえ覚えればマルチピッチをリード出来ると思っていたり、逆にジムでグレードを上げることだけに執心していたり。
実際は、両方が大事です。

無限に時間があるならば、どんな大回りもありだと思います。
が、この手の質問をする人って、大抵強い“焦り”を感じています。
30代から60代まで皆それぞれが、「あと何年かしか本気でやれる時間が無いのではないか?」と思っています。

各年代の焦りの声を聞く僕の立場からすると、なんだか不思議な感じです。
70代でリードを目指す人は少ないので、60代なら気持ちは分かりますよ。

夢のアルパインと、今出来ること(岩場のトップロープ、ジムクライミング)との大きすぎるギャップに苦しむ焦り。
その焦りも、質問も、取り組み方のミスも、何もかもが「気持ちは分かりますよ!」ってなものです。

とりあえず、次回は三ツ峠でマルチピッチ体験講習をすることにしました。
焦りがある人は、やっぱりクライミングの目標全体像を見ておくのが良いかと思います。


具体的な講習内容
・エイトノット、ダブルチェック、トップロープのビレイの総点検
・脱力、チョークアップ、ネコ足などのムーブの基本
・5.8のルートに、トップロープで本気トライ!
(AKさんは1撃、FYさんも2撃できました)

焦りを感じるほど、モチベーションのある方々!
これから、長いクライミング人生が始まりますね。