2016年1月29日金曜日

ヌンチャクの向き

1月27日(水)、28日(木)は、岩場リード講習にて、湯河原。

1日目が、女性SMさん、女性NBさん、男性OMさん。
2日目が、女性MMさん、男性KYさん、女性ABさん、復習参加の女性KIさん。
<梅林公園>

ヌンチャクの向きは、進行方向と逆を向けるべし、というセオリーがあります。

けっこう複雑なんで、これまでブログに書くのを敬遠してきた内容です。
講習でも、30分くらい考えてもらって、それでも次回には分からなくなっちゃう人が多いくらいのものです。

あくまで、復習用という程度に簡単に書きます。
<ポカポカ陽気>

①進行方向を向けると、外れるんじゃないか?

実験すれば分かることですが、逆クリップで無い限り、外れることは無さそうです。
<終了点作業の練習>

②落ちた時に、ロープが揺れて、カラビナが揺れるんじゃないか?

落ちる練習をしていれば分かると思いますが、ロープは流れることはあっても、カラビナの中で暴れていません。
<新潟から、よくぞ湯河原まで>

ヌンチャクの向きについて、原理をまとめると。

ゲートが進行方向を向いていると、フォールした時にゲートに慣性力が働くために、ゲートが空いてしまうことがある。
そして、そのタイミングはまさに、カラビナに最大荷重が掛かっている最中なので、カラビナ破断のリスクが上がる。
<頑張って、一撃!>

どのくらいリスクが上がるかというと・・・

22KNだったカラビナ強度が、7~9KNくらいになります。
この強さは、マイクロカムの小さめのもの(マスターカムの青、など)に相当します。
ただ、このサイズまでは一応フリークライミング用という触れ込みなので、そうそう壊れることは無いと思います。

また、ジムではヌンチャクの向きは事前に設定されているため、逆向きで落ちることも度々です。
が、私は今のところ、ジムでのカラビナ破断事故は聞いたことがありません。

ただ、一方で、ごく稀にリード墜落時のカラビナ破断事故は起こっていて、
「新しいカラビナだったのに、何故?」
という検証になると、すぐに、この現象が疑われます。

と、そのぐらいのリスクです。
<2日目も、ポカポカ>

なんで、この話を詳しくするかと言いますと、オンサイトトライでヌンチャクの向きを逆向きにしてしまう例が多々あるからです。

そこで、無視して突っ込むべきか、余裕があるときは直すべきか、余裕がなかったらテンション入れてでも直すべきか、といった判断をすると。
実際、講習中も向きを直そうとしている最中に足を滑らせた講習生がおり、半年以上登れなくなる酷い捻挫をしたことがあります。

そう。
向きを直す作業も、それなりにリスクを伴う訳ですよ。

皆さんなら、どうしますか?
<だいぶサマになってきたKIさん>

一方で、レッドポイント戦略の一環で、ヌンチャクの向きを全て自分がクリップしやすい向きに揃える方法もあります。
これは、リスクの大小よりも登りやすさを優先しております。

この方法は、アリ?無し?

皆さんは、いかがお考えでしょう?
<寒がりなABさん>

ちなみに、この現象はワイヤーゲートだと起こりにくいということも分かっています。

じゃぁ、ワイヤーなら気にしないってのはアリでしょうか?
<育ちの良いMMさん>

また、カラビナの強度の問題なので、70kgの男性と、45kgの女性では、リスクの程度も違うと思います。

じゃぁ、軽い女性は、気にしないのもアリでしょうか?
<「怖がりな私が、オンサイトなんて。」>

この問題は、ジムリード講習の逆クリップと違って、これといった正解のない判断を伴うと思います。

逆クリップなら、
「しないように気をつけよう!」
「やってしまったら直す。直せないなら、完登を諦める!」

という、一般的な答えがありますからね。
<ゼルダ(5.11a)>

具体的な講習内容
・ムーヴ練習
・ヌンチャクの向き
・終了点作業練習
・リードで落ちる練習
・実践本気トライ
初日
NBさん:フック船長(5.10a) フラッシュ
SMさん:フック船長(5.10a) フラッシュ
OMさん:アブラカタブラ(5.10a) オンサイト

2日目
MMさん:アブラカタブラ(5.10a) オンサイト
KIさん:ゼルダ(5.11a) ハングドッグして、ぼんやりとムーヴ解決
KYさん:アブラカタブラ(5.10a) オンサイト