2017年12月4日月曜日

死闘は大げさ?

1月の予約受付は、12月6日(水)の0時スタートです。
念のため。

12月2日(土)は、マルチピッチリード講習にて、越沢バットレス。
女性HSさん、男性ITさんのペア。
<アプローチが悪くなった>

残置無視・トポ無視によるオンサイトトライ。

残置を追いかけていても、安全管理はおざなりになり易い、というのは多くのアルパインクライマーも仰っております。

また、一度フォローしたとか、一度残置を使って登ったことのあるラインをリードしたとしても、やはり効果は半減すると思います。
先が読めない中で、必死に安全を守ろうとするから本気で考えるのです。
<紅葉>

さてさて、観念的なことはお説教臭くなるので、具体的な話。
<1P目>

越沢バットレスは、綺麗なクラックが続く岩場ではありません。

高さ70mの壁の中、切れ切れのクラックや、ちょっとしたカムセットできるポイント、易しくてランナウトが許容できるセクションを繋いで登っていくイメージです。
<2P目>

もちろん、クラシックな岩場ですからⅣ級~Ⅴ級+程度の範囲で4~5ラインは引けると思います。

換算表によってⅣ級、Ⅴ級の評価は分かれますが、個人的にはⅣ級が5.6~5.7、Ⅴ級が5.8~5.9ぐらいという感覚です。
<カムで作ったビレイ点>

つまり、トラッドっぽく言えば、5.8,PDみたいなものをオンサイトで越えながら、ビレイ点を目指すという訳です。

ビレイ点は、立木のように下から一目瞭然というケースもあれば、登りながらカムが効くテラスを探すケースもあります。
<ビレイ点での作業>

講習生のレベルからすれば死力を尽くしたオンサイトで、1日で4~5ピッチがせいぜいといったところです。
<3P目>

実際、今回の3P目は、私も学生時代に事故を起こしたことがあります。

パートナーにリードを勧め、そのリード中にフォール。
残置ハーケンは敢え無くぶっ飛び、15mほど下のビレイ点横の空中でぶら下がる格好となりました。
幸い、膝の骨折だけだったこと、ロワーダウンで1P目終了のテラスに下ろすことが出来たことで、大掛かりなレスキューにはなりませんでしたが。
<この辺で事故りました>

今思えば、やはり残置を追いかけている部分はあったし、敗退シナリオを十分に考えながらのトライとは言えないものがあります。
パートナーは、オンサイトリードだったので、本能的にある程度は考えていたとは思いますが。

残置の信頼性だって、もちろん十分に疑ってはいました。
が、いざランナウトしてしまうと最後のハーケンからの距離ばかりが気になって、それが抜けた場合のシナリオという意識は薄かったと思います。
<もうすぐトップアウト>

ちなみに、今回リードしたITさんは、そのセクションの手前でバチ効きのカムを1つ決めておりました。
越沢がいくら恐ろしい岩場と言っても、やはりカムは強い味方ですね。

今回の2人、リード自体は、こんな厳しい岩場でも対応出来てきました。
ビレイ点作成などの安全管理に、課題が色々出てきましたね。