2015年5月12日火曜日

目標設定するか、しないか?

5月10日(日)は、マルチピッチリード講習にて、またまた越沢。
女性MTさん、男性OGさんのペア。
<口調からして、穏やかな2人>

この2人も、1年半ほど前にジムリード講習から地道にコツコツ。

あとは、半年スパンくらいでジムリード、岩場リード、クラックリードと卒業していき、今回が初のマルチピッチリード講習です。
<準備中>

ちなみに、2人は山歩き程度は経験があるようですが、山岳会などには所属しておりません。

登山とは別口でクライミングを練習して、そこから岩場、マルチと興味の幅を広げているパターンです。
<マルチピッチリードの登竜門的ピッチ>

お二人とも、とても地道な練習を好む感じで、好感が持てます。

たとえば、本日の講習では1ピッチ目をリード&フォローして、懸垂下降する練習が主でした。
で、これが結構気に入った様子。
<懸垂下降>

「これくらいなら、自分たちで来てみて、練習してみよう。越沢なら、近いし。」
という気持ちになったそうです。

つまり、自分が出来そうなことを、反復練習して自信を深めていく訳です。
<1本目で、だいぶ疲れました>

1つの練習方法に、
「今年中に、スーパーレインをオンサイトしたい!」

みたいな華やかな目標を立てて、それに必要な技術を逆算していくものがあります。

それはそれで、モチベーションが上がるのが有効だと思います。
また、成果が分かりやすいので、私自身も結構やりました。
<OGさんも、ちょっと失敗>

お二人が好むのは、真逆で

「もうすぐ出来るようになりそうなことを、ちょっとずつ練習して身につけてみる。」
って練習方法。

個人的には、講習生にはそういう練習方法をオススメしたいのです。
<だいぶ力が入ってます>

なぜなら・・・

目標から逆算していく練習方法は、リスクやスタイルを妥協しやすいように思うのです。
<カウテールを作る>

例えば、
「今年中に、スーパーレイン!」

という気持ちが優先すると、こんな傾向があります。

①ロープワークの手際が悪い状態で、チャレンジ。
→ 実際には長いルートなので焦ってしまい、判断ミスによるリスクが上がる。

②オンサイトの可能性が低すぎる状態で、チャレンジ。
→ もはや、スタイルはどうでも良くなってしまい、とりあえずトップアウトするのみ。
<夕方に、本気ピッチを1本トライ>

これはこれで、達成感はあることでしょう。
また、目標に向けて頑張ったことは有意義だとも思います。

でも、
「それで、本当に良いの!?」
「そのまま、一生マルチとかアルパインとか目指して行くの?」

って私は思います。
<疲れて敗退。隣から回って、カムを懸垂回収しました>

スポーツクライミングで言えば、

「5.12aを登りたい!そのためには・・・」
ってのが、目標逆算型です。

「自分の癖を見つけ、それを治してみよう。」
ってのが、その逆です。
(良い言葉が見つかりませんが、専門用語とかあるんでしょうか?)

“どっちが正しい”という話ではありません。

ただ、目標逆算型の思想オンリーは危ないんじゃないでしょうか?
マルチ以上の山っぽいクライミングだと「死にやすい」と思いますし、スポーツクライミングだと「怪我しやすい」と思います。

地道にコツコツやっても、案外1年後には伸びているものですよ。