2012年6月17日日曜日

落ちる練習のやり方

6月16日(土)は、ジム講習6時間コース。
新規の女性MUさん、男性HKさんのペア。

休日の6時間コースは、すなわち1日コース。
開店時間からスタートし、昼休憩を挟み、夕方疲れ果てた頃に終了です。
(ロープワーク中心の日などは、閉店までやったりしますが)

雪山やマルチピッチ並の疲れ方をしますので、避ける方も多い(笑)。
遠方から来られる方、1日でカタを付けたい方、岩場講習の雨転戦、といったときに御利用いただいております。
ジムのリードで落ちることの重要性は、だいぶ以前に話して来ました。

要点だけ絞ると

①落ちそうなくらいまで頑張ることで、ようやくスポーツクライミングのスポーツらしい楽しさが実感できる

②落ちるくらいまで頑張ることで、上達の効率が上がる
(「何回か落ちて、出来た!」という経験が、新しいムーヴ習得にも最も効果的)

③墜落距離が予想できるようになる
(本当の危険と、単なる怖さの区別)

④ビレイが上達する

⑤落ちるかもしれないバランスを知ることで、アルパインなどの落ちてはいけない場面での落ちられないクライミングが強化される
ただ、落ちる練習自体が怖い、落ちる練習自体で怪我をしそう、という心配をされるのも当然。

一番良いのは、中級者以上の監督下で
「今、そこで落ちてみて」
と言われるのが手っ取り早い。

先輩から言われれば、やむなく落ちるでしょう。
本当に危うい場面では、「そこで落ちるのはダメ」、「そのビレイじゃ怪我するかも」と止めてくれます。
それが出来ない場合、ひたすら自分で実験するしかないのですが、やっぱり危ない&怖い。

そこで、以下のような練習方法をオススメします。

①低い位置でのトップロープ状態で落ちる練習
(これでも、本当のトップロープよりはロープが弛んでいるので落ちます。安全さを確かめるには良いステップ。)

②墜落距離は、あくまでも僅かずつ増やしていく
(クリップが膝下でも怖ければ、膝上で5回~10回くらい落ちても良い。墜落距離も予想しやすくなる。)

③トラバース落ち、ガッツンビレイの実験、不意落ち練習は、やるとしても最後にやる
(恐怖心を増さないため)

④ビレイ位置&弛ませ具合がクライマーの安全に大きく影響するんだ、という意識を持つ
(少しでも不安を感じたら、ビレイ方法を修正していく良い機会にする)

⑤恐がりのクライマーが嫌にならないための心理テクニックとして
・「5回だけ落ちたら交替」
・「自分で勉強になりそうな場所で落ちる」
などの自発的な動機を持たせる

※⑤に関しては、最近取り入れている方法ですが、かなり効果を実感しています。
全体を通して言えるのは

「単なる度胸付け」
ではなくて

「安全のための実験」
という意識で行うと、モチベーションが沸きやすいです。

具体的な講習内容
・トップロープ技術の確認(ダブルチェック、ビレイ、エイトノット)
・クリップ練習
・リードでやってはいけない事例集
・ビレイの立ち位置
・ビレイの繰り出し方法
・落ちる練習&止める練習
・実践、本気トライ

本日は、リードを習うのは実質初めてのHKさん中心の講習。
ただ、MUさんも落ちずに「テンション!」と言ってしまう癖があったので、今回で少し進歩したように思います。
特に、最後のトライは良い突っ込みの熱いクライミングでした!