2015年6月16日火曜日

弱気と慎重

6月13日(土)、14日(日)は、マルチピッチリード講習にて、小川山。
男性SRさん、前回で卒業したARさん、の組み合わせ。
<いざ、お殿様岩>

クライミングは、リスク判断を伴います。
その判断を惑わす要素が、いっぱいあります。

今回、起こった例を挙げて行きましょう。
①1ピッチ目が、前回の記憶より難しく感じて、右往左往してしまった。(ARさん)

「前回、登れたんだから、簡単だったはず。」
「ここで時間を掛けずに進まないと、トップアウト出来ないから、急ぎたい。」

という心理が、邪魔をしたようです。

登れたんで、結果オーライではありました。

どうすれば、良かったんでしょう?
②前回敗退したピッチ

懸案の2P目は、SRさんが突破!

前回ここで敗退した記憶を振りかえると

ARさんには
「ここがルートじゃないと思う。」
という意識が強すぎて、スタートから1メートルくらいで敗退したように見えました。

SRさんには
「ARさんが敗退したところだから、自分には無理無理。」
という意識が強すぎて、選手交代も拒んでおりました。
<「余裕じゃーん」>

今回は、
「まぁ、危なくない範囲では、やってみましょう!」

という腹を括ったように見えて、2人とも余裕の突破(笑)。

下山後も、ARさんは
「なんで、前回は絶対ダメだと思ったんだろー?」

と延々とボヤいておりました。
③先の見通しが悪いピッチ

SRさんが、リード順のときです。

ARさんが
「怖そうですよ。止めても良いんですよ。SRさんが怖いなら、止めましょうね。」
「私は、ここが頂上ってことで満足です。」

と、何度も何度も引きとめる発言をしていました。
<「よく行きましたねー!」>

が、男気溢れるSRさん。
「様子見に行きますから。」

と、リードで出発。

何度も何度も引き返して来て
「こんな様子ですけど、大丈夫ですか?」

と確認しに来てくださいます。

ただ、ARさんは言葉で聞いても結局は分からず。
SRさんの判断に従うしかありませんでしたとさ。
<落ちたら、かなり振られそう>

で、実際フォローを開始したARさん。

「なんだ!これは、私絶対落ちません!」
と、楽しげに登って来ました。

さてさて、どうしたら良かったんでしょう?
ただ、最後のオマケピッチを止めた判断は、2人とも良かったと思います。

・ムーヴの落ちる可能性
・敗退できない乗りこみムーヴ

を冷静に判断して、2人とも敗退を決めました。
<「あちらが、セレクションです」>

ともあれ、数々のドラマを越えて、お殿様岩の頂上へ!
<ビレイ点作りは、性格がプラスに現れている様子>

<名物ピッチ>

<トップアウト!>

<地上に降りた神>

<早めに降りたので、ミズガキに移動>

さて、2日目です。

今度は、真逆のパターンが起こりました。
<結局、早朝の小雨が気になって、小川山に戻る>

④一見、易しそうなピッチ

SRさんのリードで、5.8ほどのクラックを登りました。
実際、SRさんのオンサイトトライの様子を見ても、かなりギリギリだったと思います。

ただ、SRさんはそのラインを、「ほとんど階段状かな。」という風にオブザベーションしておりました。
で、核心手前でロープが大屈曲しているにも関わらず、「簡単そうだった。」という記憶のまま突っ込んでしまいました。
<見た目よりガバガバ>

ロープが大屈曲しているということは、

・ロープが重くて登りづらい
・止むを得ず、ビレイヤーは緩めにビレイすることになる

という状況になって、リスクがあります。
で、もちろん模範解答としては、

「核心手前で、ピッチを切るべきだった。」
というだけの話。

でも、この話には、
「あー、自分もやっちゃうかもなー。」
と思わされる何かがあります。
<スラブ状岩壁の一角へトップアウト!>

特に、2人は前日から
「怖い。と思っても、ニセ危険であることが多い。」

という体験が続いていたのもあるでしょう。
<そこから、1P懸垂下降して、SRさんのトライ>
本来なら核心で
「怖いな。」
と思ったときに、

「いや、これはニセ危険じゃないっぽい。」
といった判断をして欲しかった訳で。
<下の木で、ピッチ切って欲しかったなー。>
「怖い。」
と思う気持ちは、1つのセンサーです。

だから、山では結構大事です。

ただ、心理状態に大きく左右されるので、時間を掛けた訓練が必要みたいです。
<最後の岩塔は、縦走を断念>

クラックリード講習までと違って、マルチピッチリード講習は山ですねー。

反省点は多いですが、それだけ毎回成長しているということです。
まずは、大貧民のリベンジ、おめでとうございます!
<ルーファイミスなどあって、ヤブ漕ぎ下山>